2010年3月3日
トマシ・タンベラニンボウは、障害者卓球(PTT)1級の本格的な指導者です。
まだ顕著な実績はありませんが、この31歳の青年はフィジーの卓球界に確実にインパクトを与えています。
彼には聴覚障害がありますが、2009年8月15-16日に首都スヴァで開催された、PTT1級指導者育成コースに参加しました。彼は太平洋地域の卓球会、とりわけ聴覚障害者社会に注目に値するインパクトを残しました。
彼の尽力のおかげで、卓球は急速に普及しています。
スヴァの住民だったトマシ氏を、オセアニア開発職員で当時PTTコースの担当だった、スコット・ヒューストン氏が見出した時、トマシ氏はすでに卓球へ確かな情熱と努力を注いでいました。
彼は9歳のときに卓球を始めて以来、ずっと続けています。彼の強いリーダースキルは、卓球指導者として活躍するのに役立っています。昨年PTT1級指導者育成コースを修了してすぐに、彼は聴覚障害を持つ学生達に卓球の指導を始めました。現在は、フィジー卓球協会の元で、聴覚障害者のためのクラブを始めようとしています。
スコット・ヒューストンは熱心に語ります。
「トマシ氏が卓球の指導者として活躍することは、すばらしいことです。私は、彼が参加した昨年のコースの担当が出来てとても幸運に思います。彼の卓球への情熱は確かなものです。当時は彼の強いリーダーとしての素質に気付きませんでしたが、すぐにその才能は発揮され、今ではフィジーの卓球界に大きく貢献しています。本当に喜ばしく感じています。」
開発分野で働くスコット・ヒューストンにとって、開発の成果を目に見える形で測定することは困難ですが、スポーツの指導者は、競技の結果によって成長の評価ができます。トマシ氏の場合、はっきりと結果に表れていることも、ヒューストン氏を喜ばせる一因になっています。
トマシ氏は、幼少期に深刻な病気に罹った結果、聴力を失いました。しかし、それによって彼が多くの分野で優秀な成績を収める妨げにはなりませんでした。彼はスヴァのキリスト教系ゴスペルろう学校で11年間教師として働いており、現在は学生部長を務めています。加えて、彼はこれまでも、フィジーろう協会の代表を務めたり、キリスト教会内のろう者グループのリーダーとして、聴覚障害を持つ学生に聖書の勉強会を開いたり、多くの実績があります。紛れもなく、彼はリーダーであり、教師でもあります。この2つは、よい指導者として成功するために、欠かせない資質です。
ヒューストン氏はこう結論づけます。
「疑いなく、トマシ氏は模範となる人物であり、天性のリーダーであり、人々を鼓舞する存在でもあります。フィジーの聴覚障害者社会は、彼との関わりや彼の卓球への情熱を通じて、より幸せになっています。」
このような人物を動機付け、良い結果に導いたスコット・ヒューストン氏も、賞賛されるべきでしょう。金メダルとまでは行かずとも、フィジーの卓球界には、表彰台の最上段が約束されているのですから。
International Table Tennis Federation(ITTF)ホームページに掲載された記事を和訳しました。
オリジナル(英文)は、下記のサイトからご覧いただけます。
http://www.ittf.com/_front_page/ittf_full_story1.asp?ID=20653&Competition_ID=&Category=&Competition_ID=&