Duskin Leadership Training in Japan

活動報告

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第7期生 マークの活動報告

行動マネジメントセミナー

私の友人である、脳性まひ者協会Association of Persons with Cerebral Palsy (APCP) のMs. Marie Louise Kathryn Cerbas(以下ケイトさん)から、3月29日の予定を聞かれたのは、そのわずか2日前の3月27日のことでした。内容は、ゲストスピーカーとして、ULIKID親の会が主催する行動マネジメントフォーラムへの招待でした。ULIKIDとは、バランガイ地域の、教区協会の支援により障害児の親たちによって設立された団体で、あらゆる種類の障害児を対象に、リハビリテーション及び学習センターとして、1990年代中頃から活動している団体です。ほとんどのメンバーが貧しい家庭ですが、お互いに助け合い、リソースを分けあい、子どもたちに教育の機会を与えています。今はフランスの団体であるASMAEや、オランダの団体Liliane財団などの支援を受けて、その活動の幅を彼らの地域のみならず、イロイロ市全体へ広げています。

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ケイトさんがスピーカーとして招待された時に、ケイトさんは聖アグスティン大学で心理学を学び、私は西ビサヤ州立大学で特別教育の修士号を取得しましたので、もし私もスピーカーとなれば心理学と特別教育の良いコラボレーションとなると思ったそうです。私も、スピーカーが障害当事者であれば、参加者にとって、より多くの学びがあると思いました。

参加者のほとんどは障害のある子どもの親で、子どもたちと感情面や行動面での問題について、どのように接したり、支援したりすればよいか、様々な場面で深く関係しています。私はこのオファーがあった時に、二つ返事でOKしました。私も個人的に、ULIKID は大事な存在だと感じていたからです。もう一つの理由は、4月に行われる、シティネット横浜とJICAの支援で、Community Based Adaptation and Resilience Against Disasters (CBARAD)主催の、”ヘルスウォーカーを対象とした障害者分析についてのプログラム”での、パワーポイントを使ったプレゼンテーションを事前に試したいという思いもありました。

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私の発表タイトルは“All Kinds of Disabilities“で、学習障害、コミュニケーション及びスピーチ言語障害、注意欠如多動性障害、自閉症スペクトラム、情緒行動障害、知的発達障害、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、重複障害などの全ての種類の障害について、特別教育や辞書に基づいて、それぞれの定義、特徴、原因などについて、とても簡単な言葉で、誰にでもわかりやすく説明するものです。

私はそのヘルスウォーカーたちへのプレゼンテーションの前に、ULIKIDの親たちに練習したいと熱望しました。それは私にとって大きな挑戦でした。それまでに、肢体不自由に関するプレゼンテーションや講義しかしたことがなかったからです。しかし今回は全ての障害について説明しなければならず、私は緊張し怖さも感じていました。更に、その時私のPPTは80%しか完成しておらず、プレゼンテーションを効果的に行う練習のために、このULIKIDでの機会を逃さず掴まなければならないと思いました。

フォーラムはまず、参加者とスピーカーの経験を共有することから始まりました。困難だったことや、育児で苦労したこと、障害者として育った経験などです。これはお互いを勇気付け、信頼と自信とともに打ち解け合うことができました。その次は、Ms. Blesilda Mabilogによる”脳性まひとは?”についての講義です。彼女はやはり脳性まひ協会の仲間で、脳性まひのタイプ及び特徴について述べました。

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彼女は考えられる障害の原因についても説明し、親たちに前向きな理解をさせることができました。その後、今度は私が、“情緒行動障害及び注意欠如多動性障害”についての講義をしました。それらの障害に関する定義や特徴について、またそれらの障害のある子どもたちに対してどのように接したり、支援すればよいかなどについて議論したり、質問に答えたりしました。私の講義の後には、ケイトさんによる、“行動障害のある子どものマネジメント”についての講義がありました。行動障害とは、不安障害、恐怖性障害、心的外傷後ストレス障害、全般性不安障害、パニック障害、行為障害、強迫性障害などがあります。

彼女は、心理療法について、また前述のような障害のある子どものマネジメントについても説明しました。

私たちは協力し、できる限り全ての質問に答えました。

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私たちは障害のある子どもたちについて、彼らの独自性を理解するために長い時間をかけて取り組まなければならないことを確認し、セミナーを終えました。

私は脳性まひ障害当事者として、成功の鍵は、両親、特に母親が握っていると信じています。子どもに障害があることにより、自分の子どもを受け入れられないという親もいますが、母親の大きな愛が影響を与えることは否定できません。

親が障害のある子どもを受け入れ、教育することで、子どもが自立し、彼ら自身の人生を歩むことができます。

また、私たち障害者も、両親を受け入れることによって、家族や友人、コミュニティ、社会などから受け入れられることにつながります。

つまり、親は子どもを選べず、子どもも親を選ぶことはできませんが、どのような人物になるかということは自分で選ぶことができるということです。

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