Duskin Leadership Training in Japan

活動報告

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第7期生 マークの活動報告

“バランガイ地区のヘルス・ウォーカーを対象とした障害者のプロファイリング”についてのオリエンテーションを開催
2014年4月23日、イロイロ市Jaro地区にて

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昨年の10月から12月にかけて、 Community Based Adaptation and Resilience Against Disasters (CBARAD)(シティネット横浜とJICAから支援を受けて実施されているプロジェクトです。)のJay Presnaldo さんに会い、今回のプロジェクトが実現しました。

このオリエンテーションは、イロイロ市バランガイの5つの地区(Buhang, Dungon A, Buntatala, San Isidro,Balabago)で実施されました。これらの地域は洪水が起きやすい場所です。事実、2008年7月に起きた”フランク”では、甚大な被害がでました。ほとんどの住民がJaro地区の避難センターへ避難しなければなりませんでした。飲料水と食料の確保、また清潔なトイレもありませんでした。JICAが実施した“洪水管理プロジェクト” では、イロイロ市と近隣の町を結ぶ橋が数箇所建設されました。また、道路や高速も広くされ、排水システムが改善されました。

2012年にシティネット横浜がパイロットプロジェクトとして CBARADを開始しました。バランガイの代表団が、災害時における準備と安全の重要性について学ぶために、2週間日本を訪れました。

2013年12月, CBARADは、イロイロ市にあるJaroプラザジムとEon Centennial Hotelでセミナーとワークショップを開催しました。

私の同僚のBlesilda Mabilogさんもそのイベントに参加しました。

また、2014年2月12日にイロイロ市役所でCBARADにより開催された、緊急時及び災害時における、アクセシブルな避難所のデザインについての、相談事業及びワークショップへ参加しました。

2014年3月21日、Jay Presnaldo さんと、イロイロ障害者協会のAnalyn V. Porras さんと、Blesilda Mabilog さんと私で、前述のバランガイの5つのパイロット地域における、障害者の正確な数を把握するための、“障害者のプロファイルフォーラム”を設立するためのミーティングを行いました。

これはデータ収集に大変有効で、保健省及び社会福祉省が統計をとるためにも役立ちます。

4月23日に、終日に渡って、”バランガイ地区のヘルス・ウォーカーを対象とした障害者のプロファイリング”についてのオリエンテーションを開催しました。これはバランガイ地区の公務員に対して、彼らの地域にも障害者がいるということを知ってもらうこと、また、特にヘルス・ウォーカーを対象としたのは、彼が実際にプロファイリングをすることになるからです。Jay Presnaldo さんが丁度そのイベントの直前に移動となったため、Donna Magnoさんが後任となりました。

Blesilda Mabilogさんは“DISABILITY AWARENESS CHECK” というタイトルでクイズ形式のプレゼンテーションを行い、参加者がどの程度障害について認識しているか、また知識を持っているか、確認しました。

その後、私が障害種別について肢体・感覚・精神・知的という4つのカテゴリーがあることを説明し、ディスカッションを行いました。

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  • 学習障害
  • コミュニケーション/発声/言語障害
  • 注意欠如・多動性障害
  • 自閉症スペクトラム
  • 情緒行動障害
  • 知的及び発達障害
  • 視覚障害
  • 聴覚障害
  • 肢体不自由
  • 重複障害

ディスカッションはおよそ2時間に渡って行われました。参加者は5つのグループに分かれ、それぞれのグループが1つの障害について体験しました。

1. 肢体障害

  • 両手を縛り、手を使わずに書くことに挑戦
  • 車いすで階段を上ることに挑戦

2. 聴覚障害

  • ビデオを音無しで視聴し、映像の中で、人々がどんな会話がされているかを想像してみることに挑戦

3. 視覚障害

  • 目隠しをして、どこへ行く、何をするなどの指示に従うことに挑戦

4. 情緒及び行動障害

  • ファシリテーターの指示に従い、怒りや悲しみなどのためらいなく、感情を表現することに挑戦

5. 知的障害

  • 外国語の文字を読んだり書いたりする、もしくは映画を見て、一見したところ障害がなさそうに見えるけれども、読み書きができない少年を理解することに挑戦
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ワークショップ終了後に、それぞれのグループの代表が、各グループの経験を共有しました。彼らの多数が、障害のある人生は大変厳しく、悲しく、苦痛を伴うものだと言いました。何かをしたいと思っても、障害があるが故にできないからです。助けをお願いすることが恥ずかしかったと報告した人もいましたし、とてもイライラしたり怒りを感じたという人もいました。しかしながら、参加者全員が、障害があってもお互いを尊敬するということについて、賛同しました。

講義の後、Analyn Porras さんは、人々の考え方と、私たちを”障害者にしている”構造の関連性について説明しました。彼女はまた、社会の障害者に対する責任について主張しました。参加者は3つのグループに分かれ、各グループで穴の空いた箱の上にどうやって星をおくか、というワークショップを行い、様々な解決方法を考えました。参加者はとても楽しみながら行っていました。

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そのワークショップの後で、“障害者の支援の仕方”について議論しました。また、視覚障害者のサポートの仕方や、聴覚障害者とのコミュニケーションの方法、また車いすの操作方法などについても推敲しました。

彼女は、支援機器を大切に取り扱うことは、障害者に敬意を払うことと同じくらい重要なことだと強調しました。

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その後、Blesilda Mabilogさんが、”Disability/Impairment/Handicapped/Disorderの4つの単語についての定義”について、共和国法7277条(Magna Carta 7277条はフィリピンの障害者のための法律)とリンクさせて、プレゼンテーションを行いました。

私はダスキンでの研修を終えたあと、2006年から障害者のアドボケーターとなりました。そして”全ての障害”について学び、それを発表するという私の夢は叶いました。とても名誉なことです。それは容易なことではありませんでした。様々な理論と定義を比較するために、たくさんの本を読まなければならず、また、全ての人に理解しやすいようにしなければならなかったからです。それはとても大きな挑戦で、長い時間がかかり、忍耐と努力が要求されるので、私はできないと思いましたが、それを学びたい、そして人々に伝えたいという強い思いが私を突き動かし続けました。

私たちは、障害も含めて、自分を愛さなければいけません。それは自分自身を理解することになるだけではなく、他者を理解することにもなります。社会を変えることは容易ではなりませんが、大切なことは何かを始める、ということです。

マーク・エスペソール(フィリピン・ダスキン第7期生)

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