Duskin Leadership Training in Japan

活動報告

一覧に戻る

第7期生 マークの活動報告

“ピアカウンセリング、個別サポートおよび自立に向けたセミナー - トレーニング-ワークショップ フェーズⅡ

2015年ワールド脳性麻痺デイ祝典

脳性麻痺協会:Association of Persons with Cerebral Palsy (APCP)

障がい者専任オフィス:Persons with Disability Affairs Office (PDAO)

イロイロ市 モロ地区 サンペドロ

2015年10月27日、28-29日

概略

障がい者として日常生活を送ることは、障がい者自身にとっても、大切な人にとっても挑戦・戦いである。我々障がい者は周囲の人に支えられて生きているが、「依存」して生きることは自己の喪失になりかねない。

この3日間のセミナー‐トレーニング‐ワークショップは、自立に向けたアジア太平洋ネットワーク(APNIL)のフェーズⅡ企画に基づいて、脳性麻痺協会との協力により、障がい者のピアカウンセリング、個別サポートおよび自立に向けて実施された。

導入

障がい者は、成長すればするほど、そのニーズの個別性はより高くなる。

障がいが、重ければ重いほど、そのニーズは複雑化する。

障がい者と大切な人双方が障がいとうまく付き合っていくことは最も重要事項と言える。

そのため、脳性麻痺協会は障がい者の自立生活を基本としたバリアフリー社会に向けての啓発を続けている。そして我々は仲間の障がい者や大切な人、あるいは障がい者の生活に関心・関係のある人々のために、3日間のセミナー‐トレーニング‐ワークショップを設計した。

障がい者はできないことや恐れていることに焦点をあてて限界にとらわれがちだが、恐怖を乗り越えることで自身の潜在能力を発揮できるかもしれない。まずは自身を受け入れて自身をエンパワーすることが重要であり、それができてこそコミュニティ内で人々とコミュニケーションをとって結びついていくことができる。

エンパワーされた障がい者は、他の障がい者のロールモデル(手本)として最適である。

「ピアカウンセリング」はお互いに経験を共有することができ、理解しようとすれば、どんな複雑な障がいにも対処できる手段である。また、「個別サポート」は障がい者の手足となって機能するだろう。

「自立」は「孤独」という意味ではなく、制限に関係なく、どのように生きるかを決められることを意味する。障がい者であっても、必要に応じた補助具の技術や個別サポートによって自立生活を送ることが可能である。そこで、エンパワーされた障がい者がどれほど前向きに人生を送れるかが重要なテーマとなり、それができてこそ障がい者は、自身と他者を尊重しながら、コミュニティと結びつくことができるのである。

3日間の本研修では、上記内容すべてについて述べている。

セミナー - トレーニング - ワークショップ 基礎情報

  • 提唱者:脳性麻痺協(APCP)
  • 演説者/トレーナー/ファシリテーター:「パワー3」
    • マーク エスペソール氏(会長)
    • マリエ ルイース キャサリン M サーバス氏(副会長)
    • ブレシルダ T マビログ氏(秘書)
  • 場所:イロイロ市のモロ地区サンペドロにある 障がい者専任担当オフィス
  • 参加者:イロイロ市の障がい者協会連合(FPDAIC)のメンバー
写真1

1日目 - 2015年10月27日(火):エンパワーメント

マリエ ルイース キャサリン M サーバス氏(当日の演説者/ファシリテーター)

写真2

午前

  • ビデオを見ながらの祈り
  • 国歌斉唱
  • 期待することについての議論
  • マリエ氏の自己紹介(プレゼンテーション「魂の窓」を使用)
  • 障がいについての内省を促すワーク(目標、恐怖、キーとなる質問への回答の書き出し)
  • 障がい者のエンパワーメントについてのグループディスカッション ~どのようにすべてを変えていくか~

ジョンキン ランブソン氏(参加者):キーとなる質問に対して、自身の「魂の窓」を回答する様子

写真3

参考:障がいについての内省を促す質問

  1. あなたにとって「障がい」とは何ですか?
  2. いつ、どのようにして障がいを持つようになったのですか?
  3. 障がいがあるようになって以降で、忘れられない体験は何ですか?
  4. 1人の人としてあなた自身をどう思いますか?
  5. あなたの障がいをどう思いますか?
  6. あなたは目標にたどり着けないことを恐いと思いますか?

正午

  • アジア太平洋障がい開発センター(APCD)のビジョンとゴールを示すビデオの鑑賞(日本の自立センターで、重い障がいを持ちながらも独自のやり方で生活する障がい者の様子も撮影)
  • 午後

  • 「人生の7つの道」についてのレクチャー~自身の強みに焦点をあて、自身を信じ、人生の目標達成にベストを尽くすために励ましあう「ドリームチーム」を結成。失敗は「諦め」ではなく、未来を良くするために受け入れるべきものである。自身が良くなれば、明るい未来に光を照らすことができ、自身で進むことができるのである~
  • 内在化
    ~過去が現在にどう影響し、変化は続く。他人を知るには自身を知る必要がある。異なる人との出会いが人を変えることことを理解~
  • ジェジョエマール テハダ氏(参加者):「人生の7つの道」についての考えを共有する様子

    写真4

    2日目 - 2015年10月28日(水):自立生活とピアカウンセリング

    マーク エスペソール氏(当日の演説者/ファシリテーター)

    写真5

    午前

  • 「ボールパスゲーム」による1日目の振り返り
    (参加者のアンドリュー オーニャス氏がサポート)
  • ビデオ「タイと日本での自立生活プロジェクト」を鑑賞
      ~1日目と2日目のトピックのつなぎとして~
  • 午後

  • 2人ペアでのマンツーマン カウンセリングセッション(1回5分)。
    ※カウンセラーと、カウンセリングを受け
  • ピアカウンセリングの重要性の説明
  • マンツーマン カウンセリング セッション中のファシリテーターと参加者の様子

    写真6

    参加者とファシリテーターとのグループ カウンセリング

    写真7

    3日目 - 2015年10月29日(木):個別サポートとファシリテーターの基礎スキル

    ベレシルダ マビログ氏(当日の演説者/ファシリテーター)

    写真8

    午前

  • 2日間の振り返り
  • 個別サポートについての説明(ビデオ「タイと日本での自立生活プロジェクト」再鑑賞)
  • 午後

  • ファシリテーターの基礎スキルと方法についてのワークショップ
    (小企業への資金提供を促す企画のロールプレイをグループワークで実施)
  • エンパワーされた障がい者の自立生活を撮影したビデオを鑑賞する様子

    写真9

    与えられたシナリオをどのように提示するかについてのグループ討議

    写真10

    結果

    3日間の本研修を通じて、提供側も参加者も、自立生活が障がい者をエンパワーすること、自身をエンパワーすることで社会の中で個人が充足されることを理解した。本研修により、より多くの障がい者をエンパワーでき、尊重された自立生活を促すことができた。

    演説者/ファシリテーター、参加者、ゲストのドロレス ラウデノリオ氏*
        *フィリピン貧困削減コミッション(NAPC)のRegionⅥ地域担当 コンサルタント

    写真11

    英語原文作成:マリエ ルイース キャサリン M サーバス
      脳性麻痺協会 副会長 兼 プロジェクトコーディネーター
      (APCP Vice President /Project Coordinator)

    拝承 :マーク エスペソール
      脳性麻痺協会 会長
      (APCP President )

    top page