Milestone Conducts
カイバル・パクトゥンク州政府関係者研修
“Nothing about Us without Us”
“私たち抜きに私たちのことを決めないで!”
日にち:2013年5月19日
時間:10時から16時
主催:JICA パキスタン
於:ペシャワール, カイバル・パクトゥンクワ州
参加者:13名の政府関係者
ファシリテーター: シャフィク・ウル・ラフマン/リズワン・イジャズ (マイルストーン・ラホール)
アボダバードで実施された障害者の社会参加促進プロジェクト“A Star Project”が、成功裏に終了したのを受けて、現在カイバル・パクトゥンクワ州において、政府関係者に対する障害者のニーズ及び社会参加に対する理解を深めるための研修が、実施されています。
マイルストーンはその専門知識やノウハウを提供するコンサルタントとして関わっています。シャフィクさんとリズワンさんはファシリテーターとして、またダスキンの研修生として、パキスタンにおける障害者運動の知識や経験を提供しています。マイルストーンは、パキスタン全土において、変革をもたらし、人々を啓蒙する様々なプロジェクトを実施し、障害者を支援してきた歴史があります。
JICAスタッフのムザンミール・イスラムさんは、参加者を歓迎し、マイルストーンについての紹介をしました。
リズワンさんは、自己紹介の後、彼の経験を話し、参加者同士がお互いを知り合うように促し、この研修が参加型であることの説明などをしました。
まずルール作りとして、研修中は携帯電話を使用しない、勝手に席を立たないなど、して良いこと、してはいけないことについてアイデアを出し合いました。
最初のセッションは、「障害とは?」について意見を出し合いました。全員の参加者が自分の意見や考え方を発言しました。これはとても重要なセッションで、この研修のロードマップを示すとともに、社会において、例えば障害者は患者とみなされていたり、過去の過ちの罰だと考えられているなど、障害のことが理解されていないゆえの偏った考えを破ることになります。
しかし、今回の参加者は障害について良く理解していて、哀れみの考えは持っていませんでした。参加者は熱心に質問をしていました。シャフィックさんは自身を「障害者」だと感じなかったほど日常生活におけるバリアフリー化が進んでいる日本や韓国での経験を話しながら、質問者に回答をしていました。
次は「体の中でどこが一番か?」という題でアクティビティを行いました。参加者にはポストイットが配られ、それぞれ手、目、脳など書き込んでいきました。シャフィックさんはこれらの回答を受け、「アラーは最高の創造主であって、私達は祝福を受けた彼の創造物。身体の一つ一つが彼の意図したものである。障害者を差別する人は、アラーが不完全な創造主である、と挑戦しているに等しい」とコメントをしました。「それぞれ違いはあるが、全ての人々は平等である」というのがこのセッションの結論でした。
また、政府の役割についても議論がなされました。シャフィックさんは自身の政府での経験を用いて、話をしました。
次に、障害者運動の歴史についてシャフィックさんがセッションを行いました。自立生活運動を広めたアメリカのエド・ロバーツ氏の紹介、そして彼の哲学がどのように日本や韓国、そしてパキスタンまで伝わったか、また2001年にマイルストーンがこの概念をパキスタンで紹介するに至った経緯などを語ってくれました。
3つめのセッションは「パーソナルアシスタント」です。参加者は、ポストイットに自分が社会から受けているサービス3つを書き込みました。シャフィックさんは「私達は社会生活を送るにあたり、自分達の力が及ばないところは対価を支払い、サービスを受けて補っている」とコメントをしました。これは障害者のパーソナルアシスタントをする際に重要で、自立生活の精神の大切な部分でもあります。
アメリカや日本、韓国などの先進国ではこのシステムが発達しており、障害者はパーソナルアシスタントサービスを政府から受けやすくなっています。しかしパキスタンではこのような制度はありません。なので障害者は差別に直面してしまい、社会で前向きに活動をするのが難しくなっています。参加者はパーソナルアシスタントサービスの大切さについて自身の考えを述べ、様々な質問を投げかけてくれました。