Building Bridges Through Technology:
ATRIEV トレーナー研修/バギオ市
報告:アイリッシュ・アイェサ・メンデス
2014年11月16日
真のインクルージョンとは、全ての学ぶ者の相違点が理解され、独特のニーズに配慮がなされることだ、と言われています。インクルージョンは、特別なニーズを必要とする学習者の指導や評価のための、ユニバーサルデザインの適用を強く主張するものでもあります。それにより、仲間と同じように学ぶことができ、有意義な学習経験を積むことができます。多様な教室の環境における技術利用は、全ての人に平等な機会を作るための効果的なツールの1つです。このことを追求するためにATRIEVは、フィリピンにおける視覚障害者に支援技術を提供する最高の組織として、Abilis Foundation of Finland とthe Philippines Australia Community Assistance Program (PACAP)と協働し、第1回目の指導者を対象としたアンドロイド・アクセシビリティ研修を、11月4日から8日にかけて、バギオ市にあるSt. Louis University Institute of Inclusive Education (SLU IIE) で開催しました。22名(うち20名が晴眼者)が参加し、ST. Louis University’s Institute of Inclusive Educationのスタッフや、ルソン島北部の様々な特別支援教育センターから ソーシャルワーカーや教育関係者も参加しました。ATRIEVから4名の視覚障害当事者のトレーナーが、マニラから207キロの距離を移動して、バギオ市を訪れ、研修を実施しました。
それぞれの日ごとに、2つのパートに分けられて実施されました。最初のセッションはTalk Backというスクリーンリーダープログラムを使ったアンドロイド機器の操作方法について、2つ目のセッションは、特に視覚障害者を教える際に、授業でテクノロジーを利用する方法についてです。午前の授業では、アンドロイドの操作システム及び、視覚障害のあるユーザーのためのアクセシビリティの特徴が紹介されました。ナビゲーションのための基礎のジェスチャーは、ATRIEV チームのデモンストレーションや、実際に操作してみることで、学ぶことができました。ATRIEVのトレーナーは、アンドロイド機器を使用する際の、Talk backを利用する場合としない場合の違いについて良く理解しており、アンドロイド機器のアクセシビリティの特徴を学んでいました。午後のセッションでは、インクルーシブ教育の基本的なコンセプト、教育戦略基礎、視覚障害のある学習者のアセスメントなどについてふれられました。また、それらを、アンドロイド機器を指導法として活用することと、どのように結びつけるかについてもふれられました。午前は基本的なアクセシビリティの特徴について、午後はインクルーシブ教育についてのディスカッションと、視覚障害のある学習者との接し方などについて学んだことになります。更に、午後のセッションは、教師、ソーシャルワーカー、視覚障害のあるトレーナー入り混じって、視覚障害のある学習者により適切な指導計画の作成について、議論が交わされました。
今回の研修は3つ重要な狙いがあります。1つ目は、教師たちは、アンドロイド機器のスクリーンで見ることができる、様々なアプリケーションの触覚表示(tactile representations)を作成したことです。 このことは、教師が触覚教材を作成するために必要な要素を理解することに役立ちます。2つ目は、セッションを通じた協力や協働体制の形成です。研修期間中の様々なアクティビティを通じて、参加者は様々な人々と集まる機会を与えられ、彼らとのコネクションを作ることができました。様々なネットワークを持つことで、それぞれの専門性を高め、更には視覚障害のある学習者へより質の高い教育を提供することができます。3つ目は、参加者はアンドロイド機器のアクセシビリティの特徴について、指導するデモンストレーションをしたことです。このシュミュレーションによって、他の参加者やチームメンバーからフィードバックを受けることで、視覚障害者の指導における最も効果的な手段を知ることができました。
今回の研修は参加者とATRIEVのトレーニングチームの双方にとって、素晴らしい学びの経験となりました。アンドロイドのアクセシビリティについて、教師や関係者へ十分に伝えることができましたが、まだまだ改良の余地もあります。この研修は、今後フィリピンの他の地域において、ATRIEVが実施する研修のモデルケースとなり、フィリピンの全ての視覚障害のある学習者のための、学びの架け橋となるでしょう。