Duskin Leadership Training in Japan

活動報告

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第19期生 ルーの活動報告

私はダスキン19期生のカォクン・タンティピシックンです。2016年7月から全国タイろう者協会(以下、NADT)の事務局長をしています。ですので、私の活動というと、NADTの仕事になります。2018年に私が行った活動の一部をお伝えしたいと思います。

タイでは、障害者の生活を促進・支援する障害者エンパワーメント法と、事業年度ごとに障害者のエンパワーメントに関するプロジェクトに資金を提供し障害者の生活の質を促進・支援する政策があります。事業期間が限られているので、時間は十分ではありません。資金の機会を得るために、自国に帰る1か月前から、私は日本で学んできたことをどうやってタイで活用していくのかをNADTの会長と共有し、プロジェクトに対する私の考えを討議・相談してきました。その後、いかなるプロジェクトの実施に対する支援金獲得と、そのプロジェクトが成功できるように計画を立てしました。

NADTでは多くのプロジェクトがあり、各々のプロジェクトには統括官がいます。日本での研修の間、私はプロジェクトを書き、オンライン上で私ができる範囲でファシリテーターやマネージメントをしました。NADTの会長は進行中のプロジェクトを運営し、政府の委員会と小委員会との交渉を行う長でもあります。ですが、プロジェクトの幾つかは提出用のプロポーサル作成に時間を要するものもあります。ですので、今後は私がプロジェクトを管理する資金確保と交渉の主な責任者になります。

私が行ったプロジェクト:

①国際手話通訳ワークショップ

タイでは初めて、健聴者とろう者が国際手話通訳の研修を一緒に受けました。

このアイディアは、私が初めて東京で見た聴者とろう者が一緒に受講していた手話通訳研修から得ました。タイで行ったこのワークショップでは、ろう者と聴者の手話通訳者がより強固な関係を築き、互いがより理解できるものでありました。このプロジェクトにおいて、私は公的セクターのコーディネーター兼ファシリテーターであり、かつ国際手話講師としての専門家でもありました。また、国際手話クラスを担当する機会もありました。私にとって国際手話を使うのが初めてだったので、このワークショップで国際手話のスキルが上達しました。

②NADT出版による基礎国際手話の本

これは、タイでは初めてのタイ手話と国際手話の両方がある本です。このアイディアは兵庫県聴覚障害者協会で受けた研修からのもので、私は「国際手話のハンドブック」を購入し、ガイドラインとしてこの本を使い、そしてこれをタイの対象者グループ用に活用しました。私は内容と登場人物を考え、編集をし、本の作成に係る過程を監修しました。加えて、本プロジェクトには、日本とタイのろう者専門家がいて、プロジェクトの期間が限られている中、何度も「手話」を校正してもらいました。なので、とても大変でした! 嶋本恭規さんや山本紋子さんには、この国際手話の本の専門家として支援してくだったことに感謝を申し上げたいです。初版は100冊出版しました。

基礎国際手話本

基礎国際手話本

③NADTが設立した「ろう者・難聴者の情報およびコミュニケーションへのアクセスサービスセンター(通称:アクセスサービスセンター)」(パイロット事業)

NADTの会長と私は、私たちが計画通りアクセスサービスセンターのプロジェクトを実施したいと思っていました。時間を節約できるウェブを通じたサービスを作り、対象者グループから始めました。ですが開始早々、必要とする技術に時間を取られすぎてしまいました。サービスは4つに分かれます。字幕から音声へ、手話から音声へ、手話からテキストへ、そしてテキストから手話へです。これらのサービスは主にNADTのろう者によって管理・運営されています。またサービスの中には、聴者によって運営されているものもあります。私は、プロジェクトの主な作成者であり、手話からテキストへサービスを提供する一人でもあります。今年も私たちは継続的にこのサービスを提供していき、これから公式ウェブサイトにて発表する予定です。ろう者の利用者がもっともっと増えて、必要な情報やコミュニケーションにアクセスできるようにしたいです。

④2018年世界ろう連盟アジア地域事務局(WFD-RSA)会議

タイは、2018年会議の開催国でしたので、私は組織委員会の議長として責任がありました。私は、財政支援に関する政府との交渉、時間管理、WFD-RSA事務所との協働、様々な県から来たタイのろう者リーダーがWFD-RSAに参加できる機会を得られるようにスケジュール作成といった総括を行い、国際会議レベルでの経験を得ました。

タイで行われたNADT2018年世界ろう者連盟アジア地域事務局

タイで行われたNADT2018年世界ろう者連盟アジア地域事務局

その他

①世界津波啓発デー 国際手話映画

私は国連職員を紹介して下さったアメリカの友人に、この機会を与えて下さったことに感謝してやみません。各々のシーンの撮影時間が限られている中、テキストから手話へ通訳をしなければならず、とてもチャレンジングでした。映画の幾つかのシーンでは、時間的な制限から、手話を表出するスピードがとても速かったです。しかしながら、私の国際手話のスキルは、この映画を監修したろう者のおかげで向上しました。私を指導して下さってありがとうございました。

②社会擁護の権利に関するワークショップ:従来型障害福祉から社会インクルージョンへ パネリストとしての障害者の見解

嶋本さんがUNESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)を提案して下さったので私はこの機会を得ました。私は初めて国連のパネリストとしてタイの手話を使って発表しました。私のためにUNESCAPは手話通訳者を用意して下さったので、私はコミュニケーションにおいて障壁がなかったことに感激し、大変貴重な経験となりました。私の発表の焦点は、アクセシブルな視点からの社会保障の権利でした。政府は最善を尽くしていると私は思っていますが、アクセシビリティが含まれていないので、未だ問題が残っています。

本ワークショップでは、参加者が様々な角度で議論をしました。その一つに、障害者のデータ集計です。これは大切なことで、次に私たちが何をすべきなのか教えてくれるものです。

また、私はNADTプロジェクトに関わる女性ろうリーダーのスキル向上を目的とした実務的なプロジェクトプロポーサル作成とこの機会の活用方法の講義を行いました。

社会擁護の権利に関するワークショップ:従来型障害福祉から社会インクルージョンへ パネリスト

社会擁護の権利に関するワークショップ:従来型障害福祉から社会インクルージョンへ パネリスト

2019年の今年は、タイのろう者コミュニティのコミュニケーションバリアがますます無くなっていくことを願っています。また、ろう者のキャリアパスが増え、生活の質が良くなるべきです。ですので、NADTや私、役員、そしてろうの友人が今後も最高なプロジェクトを行えるように前進していきます。

最後になりましたが、サポートして下さったダスキン愛の輪基金、JSRPDスタッフ、ダスキンファミリーのみんな、そして日本の友人に感謝を申し上げたいです。

情報:

  1. 世界津波啓発デー https://www.youtube.com/watch?v=NEG3badyEJc
  2. 社会擁護の権利に関するワークショップ:従来型障害福祉から社会インクルージョンへ https://www.unescap.org/events/workshop-entitled-right-social-protection-traditional-disability-welfare-social-inclusion

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