「Active Citizensプログラム~世界とつながり、地域に貢献する~」
セミナー実施報告(マイルストン)
今日、グローバリゼーションによって世界のあらゆる国々が急速につながりあってきており、人々は様々な価値観、文化、コミュニティと結びつくことが容易になりました。逆に地域の動きが世界にすぐつながることができるのも今の世の中で、この「Active Citizens プログラム」はその結びつきから利益を生み出すことを目的としています。
Active Citizensは非営利のプログラムで、ブリテッィシュ・カウンシルによって運営されており、上記のヴィジョンを持つ様々な組織に彼らはこのプログラムを提供しています。このプログラムは若者労働者、女性団体、教育者、そして信仰団体のリーダーなど、地域で責任を持って行動している人達に有効です。これらの人達が一つになることにより、地域内での信頼が向上し、また貧困、識字率、民主政治、気候変動などの様々な分野におけるプロジェクトを始動することができるのではないかと考えます。現在、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、そして中東から30カ国、8万人のActive Citizensが生まれています。
各国の様々な問題から重要なものをリサーチする。ブリティッシュ・カウンシルはそれを受けて、パートーナーシップを組めるであろう市民団体を探し、形作る。
その地域の問題に合ったローカル・ファシリテーターを選定する。ファシリテーターはファシリテーター養成ワークショップに参加し、更にプログラムを深め、地域にプログラムを広めるための施策を探す。
ローカル・ファシリテーターはワークショップを地域のコミュニティーのActive Citizenグループに広める。
地域で活動するActive Citizensは、スタディーツアーや他国との学術交流、またオンライン・ポータルや世界中の様々なコミュニティーとの共同事業を通して、グローバル・ネットワークを広げていく。
マイルストン(The Milestone Society for the Special Persons)はActive Citizens研修を2日間に渡り、開催しました。STEP, Punjab CBID, Sindh CBID とDisabled Welfare Association Karachiとの共同開催で、マイルストンのシャフィク(Shafiq Ur Rehman)さんとSTEPの カシフ(Kashif Umar)さんの二人がトレーニング・セッションを進行しました。まず、Shafiqさんは参加者を紹介し、ActiveCitizenプログラムの説明を行いました。次に、Kashifさんは図表とポストイットを配り、Tree of Dreamsのフォームの中に自分の願いを書くように参加者に言いました。参加者は教育を受けたい、障害者分野で働きたい、女性が機会平等を得られる社会を作りたい、など様々な願いを書きました。タイム・マネジメント、他者に対する尊敬、積極性などのトレーニングのルールは参加者同士で決定されました。
KashifさんはVerval(言葉の)、Vocal(声を発する)、Vision(ビジョン)を意味する「3Vs」について説明をして、参加者に一番自分の心が求めているのは何か、そして何がその達成を阻んでいるのか、を絵にするように指示しました。このアクティビティは、参加者の深い部分にある意識を発散させました。
そして歌、ダンスなどのブレイクタイムを挟んだ後、TV番組、新聞、ラジオを用いたロール・プレイングゲームを行いました。参加者は4グループに分かれ、10年後の2023年にActive Citizen達がどのような変化を世界に生み出しているか、ということを話し合いました。参加者は自分の役を演じ、過去のActive Citizenトレーニングの達成事項について議論を重ねました。このアクティビティの目的は未来へのビジョンをより明確にし、このトレーニングから今後どのようなことが達成できるか考えることです。そしてシャフィクさんはキャパシティ・ビルディングについて講義を行いました。「キャパシティは人それぞれ違い、また自身のスキルを強めることで、キャパシティは広がる」ということが講義の核でした。
その他の面白かったアクティビティは、参加者が4グループに分かれ、4つのシチュエーション「Eid」「Basant Celebration」「Long March」「同窓会」「上司の前でのプレゼンテーション」に基づき、それぞれにおけるマナーをお互い話しあったり、その状況についてお互いの意見を交換しあいました。このアクティビティの目的は、参加者同士にこれらの状況に対して考えをまとめたり、表現したりする機会、そしてこれらの状況にどうやって自身の知見を使い、対処するかを考える機会を作るためでした。
その次に、カシフさんは「アクセシビリティ」と聞いて何が思い浮かぶか、8個の言葉をポストイットに書くように言いました。そしてそれを2つのグループに分け、4つの言葉を作りました。最終的には、4人の参加者が、組み合わせを色々と考え、最終的な4つの言葉を見つけることができました。このアクティビティは現実的なマナーの中、お互いに議論し考える機会を与えました。
アクセシビリティについて議論をしている時、参加者は激しいディベートになったので、カシフさんは「会話とディベートの違いは何ですか?」という問いを与えました。「良い会話」に求められるのは何でしょうか?つながり、コミュニケーション、トピック、お互いが尊敬の念を持つこと、忍耐です。しかし、ディスカッションの間、参加者は忍耐がなく、お互いの話を聞こうとしませんでした。このカシフさんの問いを受けて、彼らは「ゴールにたどり着くために、どのように会話を運んでいくか」について学ばされました。
2日目は、また同グループに分かれ、前日学んだことやアクティビティの振り返りを行いました。カシフさんは「AHAとは何でしたか」「OHOとはあなた方にとって何ですか」「何が興味深かったですか、また好きではなかったですか」などの質問をしました。これらの質問は参加者の気晴らしになりました。
Fish Bowl Activityでは、参加者はグループに分かれ、アクセシビリティのトピックについてディベートをしました。一つのグループがディベートと会話をし、他のグループが外から観察している、という形です。このアクティビティの目的は、参加者が自分の身の回りに起こっていることに気を遣い、Active Citizenとしてコミュニティで何が今起こっているのかを観察する、ということを学ぶためです。そしてティー・ブレイクの後、参加者はグループに分かれ、図表に書かれた10個の文とポストイットに書かれた言葉を合わせる、という作業に入りました。その10個の文は以下の通りです。
これらの文に合わせる言葉は以下のものでした。
a)両親 b)信仰 c)政府 d)文化 e)個人/多数
このアクティビティの目的は、彼らがプロジェクト実施のために訪れることを決めていた様々な地域の文化や規範への気付きを促すものです。参加者は、自分が選んだ文章と言葉の組み合わせの理由について述べました。
このアクティビティでは、2つのグループに分かれてラホールとカラチの地図を制作することも行いました。この地図は街の有名な歴史的場所の位置も含み、他のグループが違う場所に案内をしてくれる前に、自分達の地図を提示する必要がありました。このアクティビティの目的は、自分達が活動をする街を知ることの大切さを参加者に理解してもらうことでした。
次のアクティビティは、参加者がグループに分かれティー・メイキングの過程をできるだけ書き出す、というものでした。特に台所仕事をしている女性達が、このアクティビティでとても優れていたことは面白かったです。このアクティビティの目的はチームワーク、そしてチームのメンバーを鼓舞することを学ぶことにありました。
そしてカシフさんは「紛争」と聞いて何が思い浮かぶか、と次のセッションで聞きました。「赤色」と聞いて何が思い浮かぶか、という問いもありました。参加者は赤の地域に対する自分のイメージを説明しなければいけなかったのですが、これが彼らを結構悩ませることになりました。
そして最後に、シャフィクさんは、このトレーニングを進行してくれたカシフさんに感謝の念を述べました。また、このトレーニングが参加者の生活に良い変化をもたらし、それぞれのコミュニティーでActive Citizenとして活動をしてくれることを彼は望みました。
リズワン・イジャズ(13期研修生)
シャフィク・ウル・ラフマン(3期研修生)
(おわり)