私は日本に滞在中に、日本語を学びながら日本や日本文化についての理解を深め、日本の障害者の世界を体験し、さらに研修生同士の交流を通じて各国の障害者を取りまく現状を知りました。この経験を将来のネットワーク作りに活かすことができると思います。研修で、一番良かったことは録音図書を作るためのソフトウェアについての勉強でした。今からそれを使って私が日本にいる間にしたことを発表します。
二〇〇〇年八月二十九日の夜、緊張と期待の気持ちで胸をふくらませながら、一人で飛行機にのって、優しい家族と別れて、なにも知らない日本の土を踏みました。私はこの研修はいろいろな経験をさせてくれると期待していました。
日本の生活について聞くことが出来て良かったです。開講式の時、話す順番も分からなくて、日英同時通訳機も壊れましたので、私の順番がまだでしたが、演壇に上がりました。本当に恥ずかしかったです。
英語と全然違う日本語の文法は私にとって本当に難しかったです。いつも「何で?」か「どうして?」と聞きました。英語のほうが自分の話したいことを表現し易いので、日本語だけで生活するという環境に順応するのは難しかったです。
約2ヶ月半の個別研修の間に二種類の自立生活センターの運営について勉強しました。それはサービス提供に重きをおいた事業体と障害者自立のチャンスを促進するための運動に重きをおいた運動体です。
今まで、日本の障害者の生活について勉強したり、見たりして、現在のマレーシアの障害者の状態と比較してきました。 この研修を通して、私が一番驚いたのは日本の障害者が積極的に社会参加をしていて、自立生活を送っていることでした。そして、障害者自立のための福祉機器はとても発達しており、また普及していることです。私が知る限りでは、マレーシアは、日本と法律も環境も違うし、障害者や健常者の考え方も違うし、マレーシアの障害を持つ人たちは、自分の大切さを実感できず、人生の可能性や夢をあきらめて生活しています。特に重度の障害者の多くは家庭の中にしかいません。ですから、国に帰ったら、マレーシアの障害者に日本障害者の前向きな考え方やいろいろな福祉機器を教えてあげたいです。
ここでは、色々な障害者関連の情報を得ました。例えば、障害者雇用促進の活動や優遇等についてです。マレーシアで、障害者雇用促進のために、ここで得た知識はとても大切であると思っています。
障害者のためのいろいろな情報技術について勉強しました。本当に良かったです。特に、録音図書を作るためのソフトウェアで障害者の世界はとても広がりました。そして、ホームページの作り方を勉強して、自分のホームページを作りました。残念ながら、検索とIDについては難しいので、勉強しませんでした。それでも、マレーシアに帰って、障害者関連情報を集めて、習った知識で、障害者と健常者が交流することができる掲示板を含むホームページを作れると思っています。
日本で初めて電動車いすを使って、私の世界はとても広がりました。自分の行きたい場所に、いつでも、好きな時に、一人で、行けるようになったからです。電動車いすは私の足になっただけでなく、ヴェロニカさんやショウレイさんの目となり、アンポールさんの手にもなりました!
日本へ来る前には、ダイビングの体験をすることは全然考えていませんでした。不可能なことだと思っていました。初めてでしたので、緊張と期待の気持ちで胸をふくらませながら、水の中に入りました。自分は水泳が出来ないので、先生が連れて行ってくれました。プールででしたけど、ダイビングのようなものが出来たかな。本当に良かったです。でも、魚がいなかったね!
スキーに行った時感じたことを今でも覚えています。怖かったですがとても待ち遠しかったです。 私は手と足をけがするかもしれないと心配でしたが、とてもわくわくしました。スキー場に着いた時、雪の眺めはすばらしかったです。 私とアンポールさんはバイスキーを使いました。準備が終わって、リフトで山の斜面を登って、斜面をスキーですべりおりました。その時はとても楽しかったですが、リフトに乗った時はとても怖かったです。一回リフトから地面に落ちました。運良く低い所からでしたので、けがはなかったです。
優しいホストファミリ-に囲まれて、とても楽しいお正月を過ごすことができました。 大きな雪だるまを作ったり、そりで滑ったり、まるで子供のように雪のある生活を楽しみました。外では何回も滑って転びましたが、マレーシアでは経験できないことだと思うとなんだか楽しかったです。着物を着て行った初詣やスキージャンプ見学、また餅つき大会にも参加しました。私のために色々な計画をしてくださった皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
メインストリーム協会で一か月の研修期間に、ボウリングをしに行きました。初めてでしたので、ちょっと興奮しました。でも、いつもガーターでした。本当に恥ずかしかったです。 一回だけスペアでしたけどとても嬉しかったです。最初は一回だけやってみたいと思ったけど、やってみたら、知らず知らずのうちに好きになりました。
片手と片足が弱いし、体の重さも足らないので、水の中でバランスをとるのはなかなか難しいです。それでいろいろな泳ぎ方をためしました。例えば、犬かきや背泳等です。介助者がいない時、一人ではあまり出来なかったですけど、水泳する気持ちが感じられたのでよかったです。
いろいろな国からの障害者たちが、一緒に日本の土を踏んで、お互いの障害を理解し合い協力して、喜びも悲しみも分かち合いました。3ヶ月の日本語研修における最も大きな成果は、研修生10名の協力体制が出来たことです。異なる障害を持つ者同士、お互いの障害を理解し合い協力していかなければならないという意識を持ちました。
時間の流れは速いです。日本にいる十ヶ月はあっという間に過ぎました。この期間に、できるだけやりたいことを自分でやりましたけど、初めて自由を満喫しました。私はマレーシアで、毎日健常者の中で、一生懸命頑張っていたけど、自分でできないことがいっぱいでした。それで、私は知らず知らずのうちに引け目を感じるようになりました。そろそろ前の環境に戻らなければならないので、本当に心配です。この研修は私の今後の人生を、何か変えるかも知れないけど、日本で感じた自由は忘れられないものです。ですから、いろいろな援助や協力をしてくれた皆さんに感謝します。最後に、研修生の皆さん、私たちは、でこぼこの人生を歩いて来ました。このでこぼこの人生は、しかし、人の作った人生ではありません。自分で選んだ人生です。自分の足で歩く人生です。日本に来て、異文化の体験をいっぱいしましたね。この経験を生かして、国に帰って、夢の実現に向けて頑張りましょう。