去年の8月29日に日本に来ました。私はパキスタンから研修生として選ばれた、初めての視覚障害の女性ですから、仲間のためにたくさん研修したいと思っていました。でも、日本へ来る前ちょっと心配でした。日本はどんな国ですか。日本人はどんな人ですか。食べ物はどうですか。文化はどうですか。全然分かりませんでしたから、日本でうまく生活できるかなと思いました。でも日本には障害者の法律やバリアフリーがあって障害者にとってとても便利です。それに日本人は親切ですし、食べ物も本当にとてもおいしかったですから、生活は難しくなかったです。
私は日本で6人の研修生と会いました。研修生は違う国から来ましたけど、みんな優しかったから、すぐ仲良くなりました。
私は10ヶ月の研修を受けて、いろいろな経験をしました。
日本語の勉強は本当にとても面白かったです。でも、最初はとても難しいと思いました。私は毎日先生に「日本語ができません。」と言いました。でも先生はいつも「大丈夫です。あなたはできます。」と言ってくれました。そして、先生たちの教える方法はとてもよかったですから、だんだん日本語が上手になりました。今は日本人と日本語だけで話すことができます。とてもうれしいです。
日本語を勉強しているとき、戸山サンライズで生活しました。その時、10ヶ月は長いなといつも考えていました。時々寂しくなって、国へ帰りたくなりました。でも私は、障害者について勉強するために自分で決めて日本へ来ました。そして、国へ帰ってまた障害者の仕事をしたいと思っていましたから、寂しくてもがんばりました。
今は10ヶ月がとても早かったと思います。友達もできましたから、寂しくないです。日本でこんなにたくさん友達ができて、日本障害者リハビリテーション協会のスタッフともこんなに仲良くなると思いませんでした。
12月の中ごろから個別研修が始まりました。日本で勉強することはたくさんありますが、私の国の視覚障害者にとって何が必要なのか考えて決めなければいけないのでとても大変でした。そして私は自立生活と、視覚障害者のサービスと、パソコンについて勉強しようと決めました。
2.1.光友会
光友会で、視覚障害者のための生活訓練を研修しました。私の国では、若い視覚障害者のための生活訓練はとても少ないです。情報がないので、生活訓練が大切と思わない人が多いです。日本では、年齢が高くなってからでも生活訓練を受けることができます。そして、スタッフに家に来てもらって、生活訓練を教えてもらうこともできます。とてもいいシステムだと思いました。
光友会では、視覚障害者がたくさん働いていました。パキスタンの視覚障害者は仕事がない人が多いですから、どうやったら私の国の障害者も働くことができるかなと考えました。
2.2.日本ライトハウス
日本ライトハウスで、初めて1人だけで研修をしました。日本に来てからずっと、研修生と一緒でしたから、最初は寂しかったです。でも、すぐに友達が出来たので、よかったです。日本ライトハウスで色々なプログラムを経験しました。例えば、籐細工です。初めての経験でしたから、私のかごは少し変な形になりました。でも、面白かったです。
そして、最後にパキスタンや、パキスタンの生活についてスピーチをしました。私はとても心配でしたから、たくさん準備をしました。とても時間がかかって大変でしたけど、みなさんは私のスピーチを楽しいと言ってくれました。とてもうれしかったです。
2.3.ウイズ
ウイズで、点字印刷について勉強したり、斯波さんと学校に行ってスピーチをしたりしました。ウイズのスタッフは丁寧に点字印刷の方法を教えてくれました。私はパキスタンで点字印刷の仕事をしたいと思いました。ウイズで視覚障害者にとって点字がとても大切だと教えてもらったからです。私は点字が大好きでしたが、もっともっと好きになりました。斯波さんと一緒に専門学校や大学に行って、学生と交流をしました。みなさんは障害について話を聞いて、興味を持ったみたいでした。これで、ボランティアをしてくれる人が増えたら、とてもいいと思います。
2.4.ヒューマンケア協会
ヒューマンケア協会で研修したとき、初めて、一人暮らしを経験しました。料理や買い物の仕方、洗濯機の使い方を習いました。一人暮らしはちょっと忙しかったですが、楽しかったです。買い物に一人で行った時、とても心配でした。でも、お店のスタッフにお願いして手伝ってもらいました。パキスタンの料理を作ってヒューマンケア協会の事務所に持っていったら、みんなが「美味しい」と言って食べてくれました。とてもうれしかったです。
私の国では健常者も一人暮らしをしません。ですから、私の家族や国の友達に話したとき、みんなとてもびっくりしました。そして「一人暮らしをやめてください。」と言いました。日本で素晴らしい経験をたくさんしましたけれど、一人暮らしの経験は一番よかったです。私は自信をもらいました。
2.5.メインストリーム協会
私は自立生活の勉強がとても好きです。メインストリーム協会で、日本の障害者のこと、自立生活プログラムと、介助サービスについて学びました。でも、スタッフから「遊びが大事だ」と聞いて驚きました。そして、スタッフと一緒にいろいろなところへ遊びにいきました。京都では日本の歴史などを見て、とても面白かったです。広島では宮島や平和記念公園へ行きましたが、とても悲しい気持ちになって、泣きそうになりました。スタッフととても仲良くなって、いろいろな話をするようになりました。障害者の問題やパキスタンの問題について考えて、皆さんと話をしたりもしました。
私たちは勉強だけではなくて楽しいこともたくさんしました。例えば、スキーは初めての経験でした。私は何回も転んでとても恥ずかしかったですが、最後には一人で滑ることができるようになりました。とてもうれしかったです。今もスキーのことを考えると楽しくて笑ってしまいます。
お正月は熊本へホームステイに行きました。家族はとてもやさしくて、ほんとによかったです。そのとき初めて山に登ったり、雪を見たりして、まるで夢のようでした。
それからびっくりしたのは、プールの研修のとき男の人と女の人が一緒に泳ぐことです。それと温泉に入るときも、女の人はみんな一緒に入ります。パキスタンと全然違いますから、私はとても恥ずかしかったです。
そして一番びっくりしたことは、障害者が自立していることです。日本の障害者は、自分のしたいことが何でもできます。
5月の終わりから集団研修が始まって研修生のみんなとまた一緒に勉強しました。久しぶりにみんなに会いましたから、とてもうれしかったです。みんなと一緒にいろいろなところを見学したり、とてもきれいで有名なところへ行ったりしました。研修生たちは最初からいい友達でしたけれども、集団研修のときはもっと仲良くなりました。でも、もうすぐみんな国へ帰ってしまうので、残った時間を大切にしたいと思いました。
パキスタンには視覚障害者のために何もありません。法律もサービスも点字ブロックもありません。でも、もっと残念なことは何も情報を持っていないことです。私は日本でもらった情報や知識をパキスタンの視覚障害者に全部あげたいです。そして仲間と一緒に、視覚障害者のための新しい仕事を始めます。そのとき、とても大変だと思います。でもこの活動は本当に大切ですから、私は仲間と一緒にがんばります。
ダスキンの研修は私のためだけでなく、アジアのたくさんの障害者にとって、とてもいい機会だと思います。私は日本で研修できたことに感謝しています。この研修を支えてくれているダスキンの皆さん、そして、広げよう愛の輪運動基金と日本障害者リハビリテーション協会の皆さんに心からお礼を言いたいです。そして、私の所属団体のマイルストーンの皆さんにも感謝しています。
皆さん、本当にお世話になりました。どうもありがとうございました。