Duskin Leadership Training in Japan

最終レポート

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ダイ・シレスタ・アムリットのファイナルレポート

私にとって初めての海外

2007年8月28日、私は大阪に降り立ちました。日本に来るのはもちろんのこと、ネパールの外に出るのも私には初めての経験で、驚きの連続でした。まず、大阪に着いて、ダスキンの方々と顔合わせをしました。私は少し恥ずかしく、また、緊張していました。その後ホテルでシャワーを浴びましたが、清潔な雰囲気で、これもまた今まで見たことのないものでした。開講式でも私は緊張しました。ここでほかの5人の研修生とも顔を合わせました。夜交流会があり、次の日新幹線で東京に向かいました。私はあまりの速さにびっくりしました。車窓から眺める富士山はとてもきれいでした。東京駅に着いて、電車の路線の多さにまたびっくりしました。

日本語と日本手話の研修

まず東京で3ヶ月間、日本語と日本手話の研修を受けました。初めはまったくわからず非常に苦労しましたが、少しずつ慣れて、研修が終わるころにはだいぶ理解できるようになりました。しかし、漢字は複雑で、難しいです。

沖縄でのホームステイ

沖縄に着くととても暑かったです。その夜、ろう者たちと泡盛を飲みながら交流を楽しみました。沖縄の料理もとてもおいしかったです。翌日から急に寒くなり、冬物の服を買わなければなりませんでした。天候が予想と違ってびっくりしました。ろう学校の見学や、さまざまな観光スポットに連れて行ってもらいました。特に印象に残ったのはガラス工房ではガラスの器作りを実際に体験したことと、沖縄ちゅら海水族館で海の生き物をたくさん見たことです。

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スキー合宿

越後湯沢で私は生まれて初めて実際に雪が降り積もる様子を見て、とてもきれいだと思いました。障害者にスキーを教えるネージュという団体の方々にお世話になりました。初めは転ぶのが心配でしたが、すぐに慣れ、とても楽しみました。2日間の研修では正直、もの足りなかったです。夜、新潟特産の日本酒を飲みながらの交流もとても楽しかったです。

個別研修

1.滋賀県聴覚障害者福祉協会

滋賀県に着いてまず、滋賀県立聴覚障害者センターでオリエンテーションがありました。FAXやパソコンなどの機器が整備されていること、手話通訳者がいることにとても驚きました。現時点のネパールでは考えられないことです。びわこみみの里はろう者や重複障害者のための作業所で、さまざまな仕事があり、カフェも併設されています。私はそこで一緒に作業体験をし、このような仕事の場があることはすばらしいことだと感じました。滋賀県も雪がとても多いところで、私は雪が降るたびにわくわくしました。

2.日本ASL協会

飯田橋にある日本ASL協会では、レポートの書き方と、パワーポイントを使ってプレゼンテーションの方法を教わりました。講座の内容は難解でしたが、自分の考えを整理する方法を教わり、とてもためになりました。

3.奈良県聴覚障害者協会

奈良県ではろう高齢者の活動を一緒に体験したり、ゲートボールで交流したりする機会がありました。ネパールでは、ろうの高齢者が交流する場が整っていないので、日本にこのような場があることに感心しました。奈良県聴覚障害者協会の新聞「ろうあ大和」製作の現場も体験し、私の所属するバクタプールろう協会でもこのような広報誌を作れる環境を整えていきたいと思いました。また、松下電器奈良工場見学では一般企業で頑張るろう者を見て、感心しました。奈良県は歴史的建造物もたくさんあり、世界遺産めぐりもとても楽しかったです。さまざまな経験をしたので、今後の活動に役立てていきたいです。

4.福井県聴力障害者福祉協会

福井県でもろう学校の見学をし、他県と同じように広くてきれいでした。日本はどこに行ってもろう学校があるのでとてもいいと思います。ろう重複障害者などが利用する光道園という施設に4日間お世話になりました。到着した翌日、光道園の利用者と一緒にオタイコヒルズに出かけ、交流を楽しみました。次の日、作業体験をしました。私は目隠しをして作業をしましたが非常に難しく、歩くのも困難で盲ろう者の苦労が少しは理解できたと思います。脳性まひの方の食事や排泄の介助も体験しました。

5.世田谷福祉専門学校

私はネパールで手話通訳者をもっと増やしたいと考えているので、世田谷福祉専門学校の手話通訳学科で授業を見学しました。ネパールで通訳者を養成する講座を立ち上げる際には、教授方法などを参考にしたいと思います。手話通訳を学ぶ専攻学科生との交流も楽しかったです。手話通訳に意欲を持つ学生がこれだけいるということにも希望を感じました。

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研修を終えて今、強く思うこと

私は、ネパールのろう運動を支援していきたいという思いからダスキンの研修生に応募し、日本に来ました。はじめはろう運動の発展という漠然とした目的があるだけで、具体的に何が必要かということは考えることも出来ませんでした。しかし、1年間日本各地のろう学校やろう運動を見たり、一緒に活動したり、手話通訳養成の実際を学んだりと経験を積んで、日本のろう運動はとても発展していると感じました。今ネパールが必要としているのは、1.ろう運動の発展、2.手話通訳者の養成、3.ろう学校の設立だと思います。日本では、ネパールと比べてその3点がとても優れています。ネパールに私の日本での経験を持ち帰って、ネパールのろう者たちに伝えたいと、いま私は強く願っています。

帰国後の活動目標

ネパールにはネパールろう難聴者連盟があり、わたしはその加盟団体である地元のバクタプールろう協会で活動しています。もっとネパール国内のいろいろな地域にろう協会を設立しネットワークを広げたいと思います。地方で孤立するろう者をなくしたいです。

手話通訳の養成も重要な課題です。今、ネパールでは通訳者がほとんどいないため、ろう者と聴者のコミュニケーションが難しく、また、ろう者は進学して聴者と同じ環境で学ぶことも出来ない状態です。これを改善していきたいです。

ろう学校を各地に作りたいです。今ネパールでろう学校に通えるのは一部の恵まれたろう者だけです。日本のように各地に設備の整ったろう学校を作り、すべてのろう者に学ぶ機会を与えたいです。

まずは、バクタプールろう協会にFAXやパソコンなど活動に役立つツールをそろえ、手話通訳者も何人か置きたいです。そして、バクタプールろう協会の仲間や手話通訳者と共にネパール各地に赴き、各地でのろう運動の支援をして廻りたいです。しかし、これらをすべて実現するには政府からの財政支援が必要です。一足飛びには行かないとは思いますが、少しずつでもこの夢の実現に向かって、運動をつなげていきたいと思います。ネパールのろう運動に心をささげます。

ありがとうございました

3ヶ月間の日本語と日本手話の研修、沖縄でのホームステイ、スキー合宿、日本各地での個別研修を通じ、私はとても豊かな経験をすることができました。各地でお世話してくださった方々、本当にありがとうございました。

ダスキンの皆さんのおかげで日本でいろいろ学び、新しい世界を知ることが出来、とても感謝しております。アジアの障害者の運動はまだ発展途上ですが、ダスキンの活動がその発展に大きく寄与していることは間違いありません。

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