Duskin Leadership Training in Japan

最終レポート

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ジャムナ・スベディのファイナルレポート

10か月前を振り返って

ネパールでもいろいろな団体で働いていたので、本を読んだり、会議に参加したりすることで、障害について、また障害者の人権について学ぶ機会がありました。しかし、日本ではバリアのある道を通ってみたり、ユニバーサルデザインの視点を取り入れたトイレや建物、電車を使ってみたり、実体験を通して学ぶことができました。

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日本語の勉強

最初の3か月間、きれいでバリアフリーの戸山サンライズに宿泊して、日本語を学びました。来日する前、ひらがなしか覚えていませんでした。ですから、初めの頃は全然日本語が分かりませんでした。でも、先生たちが面白くて、分かりやすい教え方をしてくれたので、基本的な日本語を話せるようになりました。そのおかげで、いろいろな場所に一人で電車に乗って行けるようになりました。そして、仲間や友達がたくさんできました。

ホームステイ

研修生はお正月にホームステイをして、日本の生活や文化を習いました。私も高知県で樋口さんと近藤さんの家に行きました。樋口さんと近藤さんは温かい気持ちで私を迎え、高知県の文化を教えてくれたり、観光に連れて行ってくれたりました。幕末の偉大なリーダー、坂本龍馬の記念館にも行きました。龍馬は封建的な武家政権を民主的な社会に導きました。私は彼のリーダーシップに感銘を受けました。ホームステイについて、私がいつも思い出すことがあります。それは、樋口さんとピア・カウンセリングを経験したことです。その時初めて、ピアカンの大切さを知りました。

個別研修

1.自立生活センター・東大和

初めての個別研修は、「自立生活センタ―・東大和」でした。ホームステイをしながら、3人の若くて元気な女性のリーダーと2週間ぐらい研修をしました。

私は子供の時にお母さんを亡くしたので、お母さんの温かさを知りません。でも、田渕さんと出会い、その温かい心に触れて、お母さんがいたらいいなと思いました。だから私は、田渕さんのことを“ママ”と呼んでいます。

海老原さん(えびちゃん)に初めて会った時、びっくりしました。ネパールで筋ジストロフィーの女性を見たことがなかったからです。えびちゃんやけいちゃん、小日向君のような筋ジストロフィーの仲間たちと話をして、筋ジストロフィーのことがよく分かるようになりました。それから、えびちゃんと「こねっと(呼ネット)」の会議に行きました。筋ジストロフィーの仲間たちの話を聞きながら、ネパールの筋ジストロフィーのみんなはどこで生活をしているのかと考えました。

3人の女性リーダーの自立生活を毎日見ることで、重度障害があっても自立できることが少しずつ分かるようになりました。

2.沖縄県自立生活センターイルカ

1月の終わりから2月の終わりまで、沖縄の自立生活センターイルカで研修しました。初めは日本語がよく分からなかったので、話すのが恥ずかしかったです。でも、けんじろうさんや皆さんがジェスチャーや手話を使って助けてくれたので、話すのがだんだん楽しくなりました。私が研修に行ったとき、イルカと北部自立生活センター希輝々の皆さんは沖縄県に障害者差別禁止条例を作るために、いろいろな団体と交渉をしていました。私も鈴子さんと一緒にいろいろな団体を訪問して、どうやって交渉するかを学びました。また、同じ目的を持って活動することの大切さも学ぶこともできました。国連の障害者権利条についても勉強したので、直接的な差別と間接的な差別、合理的な配慮が分かるようになり、どうやって権利擁護の活動を行うかも勉強できました。

イルカでもうひとつ学んだことは、自立生活運動の理念です。私は介助者を使いませんでしたが、重度障害のある仲間たちはどうやって介助者を使うのかがよく分かりました。

3.メインストリーム協会

メインストリーム協会のことを、先輩のクリシュナさんとディーパックさんからたくさん聞いていたので、日本に来る前から楽しいところだと思っていました。そして、1月に廉田さんのスピーチを聞いて、もっと行ってみたくなりました。初めてメインストリーム協会に行った日、私を出迎えるための西宮駅にスタッフが30人も集まって、ネパールの歌を歌ってくれました。その時は本当にびっくりして嬉しかったです。スタッフの皆さんは本当に優しかったので、研修期間中、一度も困ったことがありませんでした。

メインストリーム協会では、まじめな勉強、例えば、介助の方法やピアサポート、自立生活プログラムのことも勉強しました。でも、一番大切なのは、遊ぶことの大切さを知ったことです。ボーリングやUSJに行ったり、毎晩遅くまで仲間たちと話をしたり、いろいろな経験をしました。それで、私のパワーは高められ、私自身が大きく変わったと思います。メインストリーム協会の皆さんは、社会を変えるために戦う真のサムライです。障害者運動にかける志について話を聞いて、私も死ぬまで障害者運動を続ける約束をしました。

4.うちなーTRYの経験

TRYのことを初めて聞いたのはメインストリーム協会でした。沖縄で5月に障害者権利条例を作るためにTRYをすると聞いて、参加したくなりました。ですから、私は那須さんと奥平さんにたくさん交渉しました。交渉は成功し、TRYに参加できました。日本はバリアフリーで差別のない国だと思っていましたが、沖縄の道を歩いていると、たくさんバリアがあったり、私たちのことをじろじろ見たり、嫌がる人がいたりしました。日本にも良くないところが残っていることを初めて知って、障害者が一丸となってアピールをして、社会を変えていくことの意味がよく分かりました。雨の日も晴れの日も頑張ってTRYに参加したので、運動に関わっていく自信がついて私の気持ちは元気になりました。

スポーツの経験

ネパールではスポーツ大会に参加したことがありませんでした。日本で初めて名古屋シティハンディマラソンに参加したり、水泳やスキーを経験したりしたことで、スポーツの楽しさや大切さを知りました。スキー研修の時、雪を触ったり高い所から滑ったりしていると、もっとスキーをしたいと思いました。ネパールはヒマラヤの国ですから雪も山もありますが、障害者スキーについて聞いたことがなかったです。

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グループ研修

6月にもう一度、研修生7人が一緒に研修をしました。日本でのいろいろな経験や学んだこと、そして将来の目標について、みんなと一緒に話した時、本当に幸せな気持ちになりました。私たちは自分の夢と将来の計画を決めました。私たちの夢はそれぞれ違うと思いましたが、障害者が楽しく生活できる社会を作るという願いで繋がっていることが分かりました。自信を持って頑張っていれば、私たちの夢は叶います。

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将来の目標

いろいろな自立生活センターで研修をして、重い障害のある仲間たち一人ひとりの人権を大切に考えることができる社会を作りたいと思いました。日本で学んだことをネパールで実現していくために、ピア・カウンセリングと自立生活運動を頑張ります。バリアフリーな国を作るために、一生懸命政府と交渉します。ネパールの社会を変えるために何ができるのか、先輩のクリシュナさんとディーパックさんとよく相談します。私は自立生活運動をネパールに広めるために一生懸命に頑張ります。

最後に

日本にいる間にお世話になった全ての皆さんに心からお礼を申し上げます。そして、この素晴らしい研修の機会をくださった、広げよう愛の輪運動基金と日本障害者リハビリテーション協会の皆さん、本当にありがとうございました。

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