2009年8月31日、私は初めて日本に降り立ちました。機中で起きたとき、美しい日の出と海が見え、息をのみました。関西空港に着いたとき、ダスキンの方々が出迎えに出てくださっていたので驚き、また大変うれしかったです。一生忘れられない思い出です。日本での研修期間中は、日本の文化や振舞い方を知らなかったために、ずいぶん失礼な態度をとってしまいました。しかし日本のみなさんはとても親切に接してくださいました。
9月から11月までは日本語研修でしたが、授業の内容についていくのが非常に難しく、また日本語自体が日本の文化に基づいているようだったので、覚えるのにも非常に苦労しました。そのため、なかなか覚えられませんでしたが、日本語や日本手話のあり方を理解しようと努め、ろう者の先生方、またろう者でない先生方に楽しく教えていただきました。日本手話の授業は日本語よりも楽でした。ろうの文化の中にあって手話は私の第二言語でもあったからです。先生方にはいろいろな事柄を、そして日本の文化や伝統について教えていただいたことを感謝したいと思います。
3週間の間、日本語でのプレゼンテーションスキルについて、日本ASL協会で学びました。プレゼンをするのは非常に難しかったです。私は面倒くさがりですし、日本手話もまだ上手でないので、手話がうまくいかないのではないかと非常に心配でした。しかし、頑張って集中して練習すると、だんだん上達していきました。プレゼンは非常に重要なツールであり、スキルであり、将来どこへ行ってもプレゼン能力は役に立つと思います。私も自信がつき、手話のスキルも磨くことができました。大森節子さんと高草久美子さんに、レポート作成のスキルおよび企画書のプレゼンについてたくさんのことを教えていただき、感謝したいと思います。
生まれて初めて、1カ月の集団研修に参加しました。集団研修では、視覚障害、車いすなど、さまざまな障害について知りました。講師の方々はみな、大変フレンドリーでした。いろいろな障害について学ぶことに興味を持ち、また、私の人生でもっとも大事なテーマでもある、ろう者であることの意味、そしてろう者の人たちについて学ぶことに以前よりも熱意を持つようになりました。
ホームステイは素晴らしい経験でした。2009年12月の休暇中、山形県のろうのご家庭に1週間お世話になりました。日本手話で非常に気持ちよく意思疎通することができました。ご家族やそのお友達と、たくさんの有名な場所の観光に出かけ、たいへん楽しかったです。日本は場所によってさまざまな文化、伝統、歴史、食べ物がありますが、それらについて語り合いました。今もホームステイさせていただいたご家族を懐かしく思い出します。
水泳の研修は3か月間で、水泳のテクニックを磨かなければなりませんでしたが、大変おもしろい経験でした。また、スキー研修も私にとっては初めての経験でしたが、お世話になった皆さんにお礼を申し上げたいと思います。友人たちとスキーを学び滑るのは大変楽しい経験でした。雪でボールを作ってお互いに投げつけたりして遊び、よく笑いました。また、美しい雪に覆われた山々、木々、家を目にしました。忘れられない思い出です。もう一度、いつか日本に戻って、スキーを経験してみたいと思います。
個人研修では多くのことを学びました。青森県および静岡県に1か月ずつ滞在し、ろうの青年部や女性部、老人部、手話講習会、機関紙作成の現場、そしてろう学校などを訪ねました。これらの団体はどれもろう団体と呼ばれているにもかかわらず、組織的にはいろいろと違いがありました。また、大阪と京都の団体はお互いに連絡を取り合って連携していることも知りました。日本では多くのろう協会が非常に高度で、専門的に経営されており素晴らしいと思います。個人研修では多くの新しい知識を得ることができ、こうした経験から、かねてからのジャーナリストになりたいという想いがいっそう強まりました。私は学ぶことを大変重要だと考えています。全日本ろうあ連盟の皆さん、筑波技術大学の皆さん、日本ASL協会の皆さん、そして青森、静岡でお世話になった皆さんに心より御礼申し上げます。
友人たちとミーティング、討論などを経て、同じ目標に向かって働き、皆の将来を明るいものにすること。「意志あるところに道は開ける。」
私の夢は、2,3年後にインドのムンバイ・マハシュトラ州で、ろうのニュースや新聞を扱う会社を設立することです。インドにはろう者のための情報、協会、啓発、教育、知識などが一切ないからです。友人たちのチームやほかの人たちにも意見を仰ぎたいと思っています。このプロジェクトによって、ろうのニュース会社の活動が5年後にはインドの全土で展開できることを願っています。
また将来的には、若年者・青年のろう協会、ろうの女性協会を支援したいと考えています。支援、ボランティア活動においてはこれら団体が必要とする情報を提供したいと思っています。
広げよう愛の輪基金の皆さん、日本障害者リハビリテーション協会の皆さん、そしてお世話になった日本のすべての団体の皆さん、そして友人となってくださった日本の皆さんに感謝の言葉を捧げたいと思います。