Duskin Leadership Training in Japan

最終レポート

プロフィールに戻る

カルティカ・アンギタ・タヌミジャヤのファイナルレポート

日本で見つけた宝箱

ダスキン研修はさまざまな障害のある人たちと一緒に、日本で日本の障害者のことや生活について学びます。この研修は10か月間のプログラムで、大きく分けて3つの活動がありました。1つ目は日本語の勉強(3ヶ月間)です。次に、グループ研修(2ヶ月間)です。3つ目は個別研修(5ヶ月間)です。

10ヶ月間日本で研修できて、とってもしあわせでした。日本語を勉強したり、いろいろな研修をしたり、あちこち見学しに行ったり、いろいろな人に会ったり、いっぱいおいしいものを食べたりして、たくさんのことを経験しました。熊本でのホームステイでは、日本のお正月も体験しました。

前のティカと今のティカは変わりましたね。例えば、前は日本語がぜんぜん理解できなかったし、白杖の使い方もわかりませんでした。ほかの障害者についてもあまり知らなかったです。でも、この研修に参加して、たくさん情報をもらって勉強して体験して、今はわかるようになりました。よかったですね。

ダスキンの研修は私にとって未知への旅でした。旅の途中で私はたくさん宝箱を見つけました。これから私が見つけた4つの宝箱について説明したいと思います。ほんとうはもっとたくさんの宝箱を見つけましたが、4つだけ紹介します。さて、どんな宝箱を見つけたのでしょうか?

写真1

1番目の宝箱:障害がある人に関心を持つこと

視覚障害のある学生の教育には経験と教材が大切です。見えないから具体的にイメージするのが難しくて、ときどきできなくなります。例えば、全盲の人は何にも触らないで、ただ説明を聞いただけでは理解できないことが多いです。そんな時はどうすれば学生たちがわかるようになるかを考えれば、問題を解決できると思います。

私にも経験があります。日本語クラスで、私もひらがなとカタカナの書き方を勉強したいと思いました。どうすれば全盲の私が文字の形をわかるようになるか・・それは難しい問題ですよね。先生は教え方を考えました。そして、ゆでたスパゲティを使って、ひらがなとカタカナを立体的に作ってくれました。私はスパゲティ文字を触ることで、楽しく理解しながら勉強ができました。

筑波盲学校にも見学に行きました。そこでも先生たちはほとんどの教材を学生のために自分で作っていました。これは学生に関心を持たないとできないことだと思います。私も周りの人に関心を持っていきたいと思います。

2番目の宝箱:DAISY

DAISYとは、普通の印刷物を読むことが困難な人のためのシステムです。私が大学生の時、点字や音声の教科書がなかったので、だれでも読める本を作りたいと思っていました。そこで、ATDOでデイジー図書の作り方を勉強しました。そのあと日本ライトハウスでデイジー図書を作るプロセスを見学し、たくさんのボランティアさんに会いました。国へ帰ってからもっと練習して、少しずつ少しずつDAISYの本を作りたいと思います。ほんとうはもっともっと勉強したかったけど時間が足りなかったです。

3番目の宝箱:人間関係の発展

いろいろな研修や活動をとおして、人間関係についてわかるようになりました。まず、さまざまな障害を持った人たちのピアカウンセリングをヒューマンケア協会で習いました。初めてちがう障害の人たちと一緒にカウンセリングをしました。前にもカウンセリングの勉強をしたことがありますが、同じ境遇にあるとか同じ障害がある人たちと一緒にやることが多かったので、日本で学んだ方法はおもしろくて役に立つと思います。日本とインドネシアのピアカウンセリングは少し違うけど、聞く時間と話す時間は同じ長さということと、感情を開放することが大事というコンセプトは共通していて、どちらも大切です。

また、障害を超えたコミュニケーション方法についても勉強しました。私は日本で違う障害のある研修生と一緒に暮らしました。私は全盲ですね。聴覚に障害のある人と会うとき、どうやってコミュニケーションをとるか考えないといけません。私たちは手話や文字を書くことが必要ですね。私は日本の手話を少し習いました。では、盲ろう者と私はどうやってコミュニケーションを取るでしょうか?指点字がありますね。これは相手の手の甲に自分の手を重ねて左右3本の指を使って点字を書く方法です。これらの経験から、コミュニケーションの多様性について考えました。お互いがわかりあうためには、どんな方法でコミュニケーションをとればいいのか質問することが大切だと思いました。

最後は視覚障碍者のスポーツです。日本で初めて視覚障害者のバレーボールをやりました。ジャカルタの視覚障害者はこのスポーツをやっていません。すごく楽しくておもしろかったです。健康にもいいし、スポーツにはチームワークも大切なので人間関係も良くなるし、スポーツはいい活動だと思います。

写真2

4番目の宝箱:日本の自立生活の考え方

東京と大阪で自立生活センターへ行きました。そこで日本の自立生活の考え方を教えてもらいました。自立生活は、自分で何でもできるとか、一人暮らしができるとか、ほかの人は手伝ってくれなくても一人でできることだと考えていました。でも、日本では少し違っていて、自己選択、自己決定、自己責任が大切と考えます。自分で選んで自分で決めて自分で責任を持つことが大事なのです。

おわりに

私は日本でたくさんの宝箱を見つけました。周りの人に関心を持ち理解しようとする心、DAISYの技術、人間関係の発展、自立生活の考え方。この4つの宝箱に共通して大切なものが3つあります。それは、役に立とうとする心、優しい心、理解する心です。

この4つの宝箱をインドネシアへ持って帰り、仲間にシェアしたいです。私は国に帰ったら、ボランティアグループを作ります。そして、コンピュータなどの使い方を教えて、よりよい教育、よりよい生活ができる機会を障害のある人たちに作るために頑張ります。そして社会を豊かにしたいです。

私は日本でたくさんのことを学ぶことができました。研修先の皆さま、そしてダスキン愛の輪基金の皆さまに心から感謝いたします。ありがとうございました。

写真3

top page