母国の障がい者運動のリーダーになります
私は今、最後のレポートを書いています。ちょっと寂しい気分です。
毎週提出するレポートに、私は日本で経験したことを書いていました。毎日レポートを書くのは、とても良いコンセプトだと思います。レポートを書くことで、日本語の練習になりましたし、いろいろな経験をシェアすることができました。
日本では本当に色々な経験をしました。
パキスタンにいたとき、日本がバリアフリーだと全然知りませんでした。私は日本で車いすを使ってどこでも行くことが出来ます。一人で生活ができ、とても嬉しいです。
日本に来て最初の3ヵ月間、日本語を勉強しました。そして、やさしい言葉を使って日本語を話せるようになりました。日本語の先生、本当にありがとうございました。
水泳の研修はとても楽しかったです。私は泳ぎ方が全然分かりませんでしたが、先生が教えてくれました。研修の最終日には、50メートル泳げるようになりました。
スキーも初めての経験でした。最初はとても怖かったです。私にとって一番難しいことは、足がとても冷たくなることでした。でも、先生たちも私も一生懸命がんばりました。とても良い経験でした。スキーの後、お風呂にも行きました。日本のお風呂に入って、身体が元気になりました。
メインストリーム協会で研修している時、いろいろな有名な場所に連れて行ってもらいました。例えば、京都、広島、神戸に行きました。そして、動物園に行って、バリアフリーチェックもしました。
ぱあとなぁで研修している時に、スタッフと一緒に名古屋へ行きました。そこで、障がい者差別解消法の施行を祝うパレードに参加しました。
グループ研修が終わり、個別研修では色々な自立生活センターへ行きました。メインストリーム協会、ヒューマンケア協会、自立生活センターSTEPえどがわ、自立生活夢宙センター、AJU自立の家、ぱあとなぁなどを訪問しました。
日本の障がい者運動のリーダー、例えば、廉田さん、中西さん、佐藤さん、平下さんに会いました。他にもたくさんのリーダーに会う機会がありました。皆さんにいろいろなことを教えてもらって、私の考え方は変わりました。全てのリーダーは、「みんなにやさしい社会を目指してがんばっている」と教えてくれました。この考え方に私はとても惹かれました。他にも、バリアフリーの社会をどうやって作るのか、自立生活運動の歴史や理念、日本の自立生活センターのシステムについて教えてもらいました。障がいのある人が自ら考え、行動して、社会を変えていくことが大切です。そのために、障がいのある人が一丸になれば、すごい力が生まれることも教わりました。
自立生活センターで学びたかったのは、「日本で重度障がい者がどんな生活をしているか」でした。西宮にあるメインストリーム協会で2ヵ月間研修をする中で、たくさんの重度障がい者に会いました。皆さんは私に様々な研修をしてくれました。そして、皆さんと友だちになりました。
重度障がいになる理由は様々です。例えば、筋ジストロフィー、脳性まひ、事故などがあります。
筋ジストロフィーの子どもは、生まれた時は障がいのない子どもと同じです。でも、だんだん筋肉が弱くなります。子どもの時は歩けますが、すぐ疲れます。そして、だんだん歩けなくなります。その時は2時間から5時間ぐらい介助者を使います。その後、もっと筋肉が弱くなったら、車いすを使います。その時は、10時間から15時間ぐらいの介助が必要です。内臓が弱くなったら、色々な医療機器を使います。例えば、呼吸器や痰の吸引器を使って生活をします。
重度障がい者の中には、いつも酸素マスクを使っている方もいます。最初は、話している言葉がよく聞き取れませんでしたが、だんだん分かるようになりました。
事故によって障がいを負うこともあります。頸椎を損傷すると、首から下は動かなくなります。
大きな声を出すことが難しい重度障がい者もいますが、色々な大学で障がい者運動について話している姿を見ました。
様々なスポーツを楽しむ重度の障がいのある人もたくさんいました。私がメインストリーム協会で研修をしている時、重度障がい者と一緒にボウリングを楽しみました。私にとって、ボウリングは初めての経験でしたし、皆さんと一緒だったのでもっと楽しく感じました。
私が本当にびっくりしたことは、日本の重度障がい者は一人暮らしをしていることです。24時間介助を使うことで、一人暮らしをすることが出来ます。
そして、日本の重度障がい者は大きな目標と自信を持って生活していました。5年から10年先の計画を考えています。
このように、重度障がい者の生活をつぶさに観察することができたのは、重度障がいのある方のお宅でホームステイをすることができたからです。これは大変効果的な学び方だったと思います。私は重い障がいのある人の家に泊めてもらって、日常生活を見せてもらいました。それまで、どうやってトイレに行っているのか、寝る時はどうしているのか疑問でしたが、実際にその様子を見て、学ぶことができました。
メインストリーム協会の研修では、私も初めて介助者を使いました。お風呂に入ったり、料理を作ったりする時、自分だけでもできますが、すごく時間がかかります。介助者を使うことで、障がいのある人の生活がとても簡単になります。
最初に、私は障がい者のために自立生活センターを作って、その中に自立生活サポートプログラムを作りたいです。このセンターの目的は重度障がい者が介助者を使って、自分で生活ができるようになることです。
介助システムができたら、3つのいいことがあります。
①家族の中に障がい者が一人いて、家族だけで手伝っていたら大変です。介助者がいたら、家族は楽になります。
②介助者を使えば、障がい者は自分のしたいことが自分でできます。トイレや買い物、料理もできます。
③このシステムがあったら、仕事の機会を増やすことができます。仕事がしたい人はトレーニングを受けて、介助者になることができます。
では、どうやって重度障がい者とその家族が介助の費用を払うのでしょうか?私はその解決策を考えました。
私はフリーランスのITコンサルタントです。ですから、重い障がい者にITの技術を教えることができます。ITは、障がい特性に合わせた働き方を可能にする分野だと思います。私は重度障がい者の自立生活センターの運営をサポートするために、IT企業を作ります。私は6ヵ月ぐらい時間をかけて、ウェブデザイン、プログラミング、アニメーションなどを重度障がい者に教えます。それから色々な企業に売り込みをして、仕事をもらいます。障がいのある人は習った技術を活かして仕事をして、給料をもらいます。そして自立生活ができます。一方、企業は障がいのある人の自立を支援することができ、企業の社会的貢献(CSR)を果たすことができます。これは両者にとって、Win-Winの関係です。
日本には障がい者のための社会的企業がたくさんありました。私が考えた社会的企業のモデルとなったのは、Do-will、しまむら(Shimamura Super Market)でした。
研修期間中、私に色々なことを教えてくれた先生や研修先の方にこころからお礼を言いたいです。
ダスキン愛の輪基金のスタッフ、日本障害者リハビリテーション協会のスタッフ、そして、戸山サンライズのスタッフにも心から感謝をしたいです。
色々お世話になりました。ありがとうございました。