人生のターニングポイント。
私は以下のことを学びたくて、この研修に応募しました。
日本では多くのことを学びました。ダスキン第20期生として選ばれたことは、私の人生のターニングポイントになりました。
温泉に入るときに裸にならねばならないことには、本当に驚きました。ネパールでは、お風呂に入るときは、布を一枚羽織らなければなりません。それに、たくさんの人と一緒に入ることはありません。知らない人たちと裸でお風呂に入ると聞いたとき、自分には絶対無理だと思いましたが、今ではすっかり慣れてしまいました。
兵庫県聴覚障害者協会で研修した際、障害のある人の強制不妊手術に関する裁判を傍聴しました。原告は高齢のろうのご夫婦で、子供を産むことを許されず、強制的に不妊手術をされたというのです。裁判で、そのいきさつを聞き、悲しくなりました。私も同じろう者ですから、ご夫婦の気持ちがよく分かりました。このことは悲しい驚きとして心に残りました。
介助研修は、3回シリーズで行われ、5人の研修生の障害について学びました。そこで、車いすを使っている人や視覚障害者がどんな生活をしているのか、どんな困難があるのか、どんなサポート方法があるのかを知ることができました。ネパールにいるときは、ろう者としか付き合いがありませんでしたが、日本で様々な障害をもつ4人に出会ったことで、多くの気づきを得られました。
ドリームマップは、将来の夢を「見える化」するワークでした。ダスキンの研修は、座学だけではなく、こういった参加者が主体的に参加するワークショップも含まれます。自分の3年後、5年後の夢を描くことで、日本で何を学ぶかを明確にしたり、帰国後に踏み出す最初の一歩を考えたりすることができました。とても楽しい研修でした。
日本ASL協会では2週間のプレゼンテーション研修を受けました。ネパールでも人前で話す機会はありましたが、人前でどう話せばいいのかを知らずに話をしていました。今回、プレゼンテーション技法をしっかり学べたことはよかったです。なぜなら、私は帰国後、多くの人たちに日本での学びを共有しなければならないからです。プレゼンを成功させるには、講演時間を守ること、事前準備をしっかりすること、そして、何度も練習をすることが重要だとわかりました。
兵庫県には約1か月間滞在し、様々な研修をしました。特に印象に残ったのは2つの研修先です。一つはたつのこ工房です。その福祉施設では、定年退職したろう者あるいはろう重複の方が軽作業をして、工賃をもらっていました。私も一緒に作業させてもらいましたが、たつのこ工房は、ろう者の仲間が集まる場所として、仕事の場所として機能しており、とても素晴らしいと思いました。二つ目は、淡路ふくろうの郷です。高齢ろう者の施設である、淡路ふくろうの郷では3日間研修をしました。私も高齢ろう者のサポートをさせてもらいました。ネパールにも、高齢ろう者はたくさんいますが、未就学で手話ができません。自分の考えや思いを伝える術がないのです。しかし、淡路ふくろうの郷と同じような施設がネパールにあれば、高齢ろう者の心の声を拾い、幸せに暮らせるようにできるのではないかと思いました。
秋田で行われた大会にユキさんと一緒に参加しました。日本全国からろう青年が集まって、様々なトピックで討議を行いました。分科会もあり、それぞれの話し合いの結果を発表する機会もありました。ろう青年の活動のすばらしさを体感することができました。
私はミョーミンさんと一緒に出掛けることが多かったのですが、駅の改札が車いす用に広くなっていることに気づきました。また、駅には点字ブロックも敷設されています。ネパールは交通バリアフリーが整っていないので、障害のある人は外出ができません。日本では、駅のスタッフも手伝ってくれるし、どこにでも出かけることができます。ネパールでも、交通バリアフリーが進んでほしいと思いました。そのためには、ろう者だけではなく、他の障害者団体と協力して、政府と交渉する必要があります。
また、福祉制度が整っているため、高齢ろう者が安心して暮らせることも素晴らしいと思いました。兵庫県での研修中に、高齢のろう夫婦のお宅に伺いましたが、その生活は穏やかで楽しそうでした。ネパールも高齢者が安心して暮らせる社会にしたいです。
まず、日本で学んだことを情報共有します。私はシャンジャーという場所で生まれました。シャンジャーにあるろう協会をもっと強固で、大きな団体にしていきたいです。次に、ろう青年部・女性部を作って活動したいです。特に、ネパールでは女性の社会進出が遅れていて、家に閉じこもっている女性が多いです。力を発揮できずにいるろう女性たちに声をかけ、女性部を立ち上げたいです。3番目に、ネパールにはダスキンの卒業生がたくさんいるので、彼らと一緒に活動したいです。例えば、18期生のケサブさんです。彼とは日本に来る前に少し話をする機会があり、ネパールをよい社会にするために頑張ろうと話をしています。ダスキンの卒業生と繋がりながら、ネパールで活動していきたいです。
最後に、高齢ろう者の施設を作りたいです。これは、私が一番成し遂げたい目標です。未就学であるため、手話で話すこともできず、日々やることもなく過ごしている高齢ろう者がネパールにはたくさんいます。彼らの居場所となる施設をぜひ作りたいです。
これらの夢の実現のために、私は最善を尽くします。
本研修プログラムは私にとって真のターニングポイントとなりました。このような素晴らしい機会を与えてくださったことについて、日本障害者リハビリテーション協会およびダスキン愛の輪運動基金の委員の皆さまに感謝の言葉を捧げたいと思います。また、ダスキンファミリーの皆さま、そして日本の皆さま、このように長期にわたり成功を収めてきた研修プログラムを用意してくださり、本当にありがとうございます。また、私のことを親切にサポートし助けてくださった日本の友人の皆さん、団体の皆さんにも感謝したいと思います。時間の過ぎるのはあっという間でした。10か月は瞬く間に過ぎてしまいました。この間学んだ一番大切なことは、私たちはみな同じ人間で温かいハートを持っている、ということでした。誰であっても、国がどこであっても、障害がなんであっても、肌の色や自分のジェンダー・アイデンティティが何であっても、私たちはベストを尽くす…なぜなら、私たちはダスキンファミリーだからです。