Duskin Leadership Training in Japan

最終レポート

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ヨンテン・ジャムソンのファイナルレポート

目標を達成するためにあきらめません。

A. 日本語と日本語手話

私は日本に来るまで、まったく日本語が分かりませんでした。しかし2018年9月から12月まで、日本語の挨拶や簡単な会話の勉強に集中しました。先生方の教え方がとても素晴らしいことに驚嘆しました。また、私たち研修生の日本語を上達させようと、研修の主催母体より週ごとに日本語でレポートを書くようにとの宿題が与えられました。このおかげで、今では日本語の読み書きに加え、簡単で、かつ基礎的な日本語なら話せるようになりました。

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B. 個別研修

個別研修は研修の主催母体が私の個人的な興味分野に合わせて組んでくださる特別のプログラムです。日本中のさまざまな団体で実践的な研修を受け、日本の障害者の人たちの置かれている現実、そしてそうした障害者の人たち向けのサービスについて理解することができました。4か月の個別研修プログラム期間中は、公的な機関、リハビリテーション・センター、特別支援学校、図書館、障害学生支援センター、国の、あるいは各地の団体、それにNGOやNPOなど日本各地の組織を訪ねました。最初は日本語での意思疎通が難しく、知識の吸収も難しくてかなり苦戦しましたが、徐々に自分自身も大きく前に進むことができるようになってきました。障害者の人たちについて多くを学ぶことができた場所は数多くありましたが、ここにいくつかご紹介します。

1. 視覚障害者向けサービス:日本ライトハウスにおける点字本製作など

日本ライトハウスでは、日本の福祉政策およびその実施状況について学び、経験しました。日本ライトハウスでの研修には、障害者運動、ボランティア活動、障害者の就労支援、またリクエーション支援サービスなどもありました。研修中はリハビリテーション・センターや学生支援センター、盲導犬センター、また大阪の点字本製作センターや点字図書館を訪問しました。また、こうした課題に取り組む専門家にお目にかかるチャンスもあり、皆さんと、非常に建設的で実りあるディスカッションをすることができました。さらに、いくつか大学も訪問し、社会福祉システムや日本の法律、また障害者に関する法律についても学びました。こうした経験により、各県でどのように福祉政策が実施・推進されているか学ぶことができまた。日本には47の都道府県があり、おのおのが自らそれぞれの県のやり方で社会福祉政策を進めています。

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2. 日本点字図書館

日本点字図書館(Japan Braille Library、以降「JBL」とします)は視覚障害者ないしは機能障害により印刷物を一般の人と同じように読めない人向けの、日本最大の図書館です。点字本やオーディオブックなどの本の貸し出しなど、いろいろなサービスを行なっています。JBLがどう設立されるに至ったのか、障害のある人向けにJBLが提供しているサービスはどういうものがあるか、などのほか、日本の政策や国際的な協働の取り組みなど、いろいろなことを学びました。

3. 支援技術開発機構ATDOでのDAISY研修

DAISYは、印刷物を読むのが難しい人のためのシステムです。ブータンで視覚障害者大学に通っていた学生当時は、点字本は非常に少なく、オーディオブックに至ってはまったく無かったので、誰でも使える本を作ることが私の夢となりました。ご縁あって支援技術開発機構(ATDO)ではDAISYブックの製作の方法を学ぶチャンスに恵まれました。その後、日本ライトハウスおよび日本点字図書館では、多くのボランティアの人たちが本をDAISYブックに変換している作業を目にすることができました。 DAISYブックの製作を始めることを夢見ながら、新しく身につけたDAISYのスキルを将来ブータンで活かそうと思っています。

4. 障害者授産所ウイズにおける障害者の就労

ウイズは普通の開かれた労働市場では身体や知的やその他の障害のために仕事を見つけるのが難しい人に就労機会を提供している団体です。ウイズの目的は、一緒に働き、一緒に挑戦することです。また、ウイズの基本理念は、「障害を持つ人とともに」です。ウイズでは、障害者の仕事についてのほか、白杖の作り方や使い方、さまざまな白杖の種類などについて学びました。

5. 「ゆに」におけるオリエンテーションと歩行トレーニング

「ゆに」では、障害者の人向けサービス、および介助者向け研修について学びました。また、重度の障害のある人をどうサポートするかの方法のほか、学習障害のある人むけのキャプショニング・サービス、視覚障害のある人むけのオリエンテーションや歩行トレーニングについても学びました

さまざまな団体での個別研修から私が学んだ大切なコンセプトは、障害のある人に力をつけること、そうすることで、障害のある人たちが自らの人生で決断を下し選択できるようにしていくこと、でした。この学びにより、私ももっと頑張って働き、自立生活についてより深く学び、自立生活を体験したいと思うようになりました。

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将来の目標は新しい組織を設立すること

研修中の意見交換やさまざまな経験のおかげで私のコミュニケーションのスキル、そしてリーダーシップのスキルは改善しました。また、日本の障害に関する課題や障害者に対するサービスについての理解が格段に深まりました。こうした学びが、「地元コミュニティで新しい組織を設立し、活動を展開し、日本と同じようなサービスを提供する」という私のミッションそしてゴールを実現する土台になるだろうと考えています。

団体名称: ブータン視覚障害者協会(Blind Association of Bhutan:BAB)

ミッション: 視覚障害者に社会参画の機会とチャンスを提供し、支援する。

目的:

  • 視覚障害者の権利に関する一般社会の意識改善
  • オリエンテーションと歩行訓練
  • 基礎的な点字スキル
  • アクセシブルな本(点字本、DAISY、布絵本など)の提供
  • スポーツ(パラリンピックゲームなど)

ブータンには40ものNGOがありますが、障害者を対象にしたものは3つだけです。したがって障害者向けサービスは非常に限られており、今のところ視覚障害者向けの団体もありません。このような状況であるため、私は目の見えない人のために新しく団体を設立し、日本で学んだり体験したりしたことを活かしたいと考えています。また、ブータンで目の見えない人たちが直面している困難について理解はしていても、新しい団体設立は大変難しいことになるだろうと思います。しかし上に挙げた目標を達成するため、公的な助成金や支援にも頼りたいと考えています。目標を達成するまで頑張って活動し、あきらめない所存です。

楽しかったこと

勉強や学びのほかに、日本では楽しい時間もたくさんありました。ホームステイに、スキー研修、水泳、観光などです。こうしたプログラムにより日本の文化や生活について知ることもできましたし、新しい体験をすることで自分自身の能力やスキルもアップしました。こうした知識はすべてブータン社会に利するものになると考えています。

最後になりましたが、ダスキン愛の輪基金、日本障害者リハビリテーション協会、研修先の各団体の皆さん、私のホストファミリー、戸山サンライズ、そして10か月の間お世話になった皆さんすべてに、リーダーシップ研修を無事終えることができたこと、多くの愛と温情をもって接してくださったことについて感謝の辞を述べたいと思います。本当にありがとうございました。

ブータンにいらっしゃる方、ないしは訪問したいと考えていらっしゃる方がいらっしゃいましたら、大歓迎です。感謝の気持ちとして皆さんをお迎えしたいと思います。

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