日本から始まった喜びのタネ
2024年9月23日、国際手話言語の日。私は、第24期ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業研修生として初めて日本の地を踏みました。
これは単なる海外研修ではなく、モンゴルのろう者が直面している課題に対する解決策を探るため、自分自身を高め、できる限りのことを学ぶという強い決意を持った旅の始まりでした。4人の子どもたちをモンゴルに残して日本へ来るという決断は、私にとって大きな覚悟と犠牲を伴うものでしたが、学びたいという強い意志と人のために役立ちたいという願いが私の背中を押してくれました。
日本に到着してすぐ、日本の文化、清潔な環境、人々との温かい交流、そして進んだテクノロジーに感動しました。そして、同じ志を持つ台湾、バングラデシュ、ネパールから来た仲間たちとも出会いました。互いに励まし合い学び合った9か月間にわたる交流は、私にとってかけがえのない財産となりました。
来日して最初の1か月間は言葉の壁に苦しみました。思うように伝えられず、相手の話も十分に理解できないことは学習にも交流にも支障をきたしました。しかし、4人のろうの先生方が日本手話を教えてくださったおかげで、短期間でこの壁を乗り越えることができました。
このとき初めて、「言語は知識への扉である」という言葉の意味を実感しました。日本手話と日本語を学ぶことは、コミュニケーションだけでなく来日前に立てた目標を達成するための重要な土台となりました。
日本手話を学んだことで、手話通訳者が情報を伝えるテレビ番組やろう者自身が作成したビデオなど、さまざまな情報にアクセスできるようになり、日本の文化や社会問題、ろう者の生活や権利などへの理解も深まりました。

2025年の年末年始、私は広島県と奈良県のろう家庭を訪問し10日間のホームステイを体験しました。この貴重な時間を通して、日本の家庭での生活スタイルや日常の習慣、お正月の伝統行事を直接体験し学ぶことができました。1月1日には奈良県のホストのご両親の家を訪ね、新年を共に迎えました。笑い声が絶えず思い出があふれる温かく幸せな時間でした。また、広島や奈良の歴史的な名所を訪れました。中でも特に印象に残ったのが広島の平和記念公園です。原爆による被害について学び、ろうの被爆者の証言ビデオを見たことで、平和の大切さと戦争のない世界の価値を深く感じました。私に最も深い感動を与えてくれたのは、日本のろう者の2つの家庭が私を温かく迎え入れ、日々の暮らしや文化を丁寧にそして優しく分かち合ってくれたことです。心からの感謝の気持ちでいっぱいです。


2025年2月から5月中旬まで、私は日本各地の行政機関、民間団体、教育機関で個別研修を受けました。これはモンゴルに持ち帰って活用するための知識や実践的な経験を深める非常に重要な機会でした。
以下の機関で研修を行いました:
これらの研修を通して、当初設定した目標を達成しただけでなく、想像以上に幅広い新たな知見と知識を得ることができました。紙面の都合上、全てを網羅することはできませんが、それぞれの経験が私の専門性の向上と将来の取り組みに大きく貢献したことは強調しておかなければなりません。日本のろう者団体の運営方法、その組織構造とリーダーシップスタイル、プロジェクトの実施方法、そして地域社会の参加を促す戦略について理解を深めることができました。また、通訳者養成と試験制度、カリキュラムの構築と教授法など幅広く学びました。日本のろう教育制度、指導法、教材、そして教師の働き方についても学びました。さらに、第一線で活躍するろう者の専門家の方々と出会い、彼らの経験や課題克服のプロセスから多くの刺激を受けました。日本の社会福祉サービス、ろう者の就労支援、手話研究の動向、そして政策やプロジェクトの現状についても深く理解することができました。私は見聞きしたことを単に受け入れるだけでなく、「モンゴルに導入する場合にはどう応用できるか」「日本の課題や失敗から学ぶことは何か」と常に問いながら研修に取り組みました。
日本は見どころがたくさんあり、人々の興味を引く旅行しやすい国だと感じました。ろう者の友人たちと一緒に何度か短い旅をしたことで、それをより深く実感することができました。これまでに47都道府県のうち16都道府県訪れ、それぞれの土地の自然や歴史的な場所、おいしい郷土料理、文化や習慣に触れました。たくさんの人と出会い、交流できたことはまるで新しい世界が広がったような体験でした。特に印象に残っているのは、新潟でのスキー研修です。モンゴルでもスキーに挑戦したのですが、上手く滑れず、もう一度挑戦することに不安と恐怖を感じていました。しかし、インストラクターの方々の励ましとサポートのおかげで、スキーのやり方を習得しただけでなく、最終的には一人で滑れるようになりました。この経験は、私に新しいスキルを与えてくれただけでなく、自分の限界を乗り越える自信も与えてくれました。
旅行はただの観光や遊びではなく、自分自身を知るきっかけとなり心に残る思い出と人生の糧となりました。

この短くも濃密な時間を日本で学び、生活できたことは、私の人生においてかけがえのない経験でした。
まず、今回の研修プログラムを支援してくださったダスキン愛の輪基金の皆さまに心より感謝申し上げます。ご支援がなければこの研修は実現しませんでした。また、プログラムの計画・運営を丁寧に、細やかに行ってくださった日本障害者リハビリテーション協会はじめ関係者の皆さま、本当にありがとうございました。個別研修の機会を与えてくださった団体および関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。皆さまから共有していただいた知識と経験は、私の今後の活動にとって非常に貴重な財産となりました。また、日本語と日本手話を丁寧に教え、私の言語能力向上のために心を込めてご指導くださった先生方にも深く感謝しています。さらに、日本の美しい土地を案内し、学びの旅をより豊かにしてくれた日本人の友人たちにも心からお礼を申し上げます。
この研修の中で出会ったすべての経験と人々から、私は知識の価値、気づきの力、人間のあたたかさを深く学びました。
この学びをモンゴルに持ち帰り、ろう者の教育、権利、社会参加の推進にしっかりと活かしていくことをここにお約束します。
